──暑い。暑すぎる。
 出身地の影響で暑さに弱いメンバーが多い中、私も例に漏れず暑いのは苦手だった。補給のため寄った島は夏島で、しかも土地の特性上ことさら暑いときた。聞くところによると体温をゆうに超える気温らしい。聞くだけで頭の中身が沸騰しそうだ。
 命を繋ぎ止めるために買った三段重ねのコーンアイスは、かなり速いスピードで溶け始めていた。左腕に抱えた食材入りの紙袋に溶け落ちないよう気をつけながら、一段目を巻きで頬張っていく。ストロベリーの刺激の弱い甘酸っぱさが打ち水のように、灼熱に焼かれた体を冷やしてくれた。

「あ、」

 そろそろ一段目を食べ終えそうなところで、この炎天下の露店で長い足を止めている男を見つける。

「船長……あ、ちょっと、」

 振り返るなり手元のアイスを見定めた彼は、コーンを持つ私の手にその広い手を重ねる。その手のひらが珍しく汗をかいていると思った頃には、ばくりと、大きな口に二段目がほとんど消えていった。爽やかなレモンシャーベット。一番涼しげで、一番楽しみにしていた層。

「あの……レモン味なくなったんですが」
「あと一段あるからいいだろ」
「ドロボーめ……」
「海賊だ」
「わがままプリンセスめ……あーあ、誰か『これで今度は五段を買いな』って颯爽とベリーくれないかな」
「いねェよ、んな奴。焼け死ぬ前にとっとと戻るぞ」

 あっさりと露店を後にする船長に、買わなくていいのか訊ねる。どうやら、保存条件にこの狂った気候が必要という、イカれた薬草だったらしい。残念でしたね、と声を掛けて三段目のチョコレート味の濃厚さをを味わっていると、再び手を取られて残りを齧られた。なんという横暴。でも、船長が汗を流しているのも本当に珍しくて、船に戻る分くらいの充電になったのであれば、看過してあげないこともない。

「チョコ味も美味しいですね」
「……甘すぎる。もっと控えめなやつにしろ」

 出た。甘えん坊め。

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