珍しく日勤で定時に上がった。神羅ビルから出ると陽が沈んでいるところ。オレンジ色に空が染まっていて、久々に見る空はとても明るかった。
 家に帰らずちょっとだけ寄り道。空き地に積み重なる鉄屑たちの上にあがり、腰を下ろす。見上げた空は神羅ビルを出たときに見たオレンジ色よりも濃くなっていた。
 闇に染まりきった私には眩しすぎる空。なにも考えずに見る夕日はとても綺麗。心が洗われる気がした。
 しばらくすると陽が沈みきり、じわじわと闇が広がっていく。もう少し…もう少しで闇に覆われる。

 そろそろ帰ろうと思い、目を閉じ深く息を吐き出していると、不意に誰かが私と背中合わせで座る。気を抜きすぎたなと思うと同時に、ふわりと同僚の香りがした。
 再び空を見上げると彼も同じようにしたらしく、お互いの後頭部がコツン…とぶつかる。一言も発さずにただただ空を見続ける。

「たまにはこういうのも悪くはないな、と」

 体の横に投げられた私の手の上にそっとレノの手が重なり包まれる。彼の体温がとても心地よい。

 もう少しだけこのままでいてもいいですか…?


無記名SS当てっこ 題材―レノ「黄昏時」
2020/09/21




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