夏が終わりを告げ、気温が徐々に下がり枯れ葉が足元でくるくると遊ぶ。つい先日まで気温が高く、日差しが肌に刺さりとても痛かった。しかし、今は日差しが和らぎ、すっかり秋になってしまった。急な季節の変わり目にまだ衣替えをしていない私は半袖を着ている。風が冷たく、少し肌寒い。風が吹くたびに体を縮めて、腕を擦ってしまう。どこかで羽織るものを買いたいな…と思いつつ、会社まで戻れは自席にジャケットがあるからここで買うのも…と葛藤する。あと少し、少しだけ我慢すれば会社。買いたい物があるんだから、ここで無駄遣いするわけにはいかないと我慢することにした。

 急ぎ足で会社まで向かう。我慢すると決めたけど、やっぱり寒い!カフェテリアで温かいカフェオレ買って、体を温めよう。もう少しで目的地だ!

 カフェテリアにたどり着き、すぐさまレジのお姉さんにテイクアウトでカフェオレを注文する。

「今日、肌寒いですよね…。すぐに暖かいのお持ちします!」

とあからさまに寒そうにする私を見て、気を使わせてしまった。いつも思うけど、カフェテリアのお姉さん優しすぎる…。

「お待たせしました。熱いので気を付けてくださいね。」

「ブランケットの貸し出しもありますので、必要でしたら声かけてください。」


 カフェラテを受け取り、窓際と出入り口を避け暖かい空気が常にありそうな場所を探し、いい場所にソファーを見つけた私はそこに腰を下ろす。あー、やっと温まれる…。

 アツアツのカフェラテ、猫舌の私はある程度冷まさないと飲めない。リッドを取り、そっとカップを冷えた私の手で包む。暖かい。リッド外したこと、私の手を温めることの両方でいつもより早く冷めるだろう。早く飲みたいけど、手が冷たすぎるからそっち優先。
 徐々に手が温まり、そろそろ中身が飲みたい。湯気が漂うカップを覗き込み、舌を火傷しないくらいに早く冷めて欲しいと思いつつ、息を必死に吹きかける。そろそろ飲めるかなと思い口をつけるが、まだまだ熱すぎて飲めそうにない。

 ふと腕時計を見たらカフェラテに息を吹きかけ始めて、だいぶ時間が経った。もう大丈夫でしょう、ともう一度口をつける。うん、少し熱いが飲める。温かいカフェラテが体を内側から温める。思わずほっとしてしまう。溢さないように、そしてこれ以上冷めないようにとリッドをつける。

 上機嫌で飲んでいると、私の隣に誰かが座り、ソファーが少し沈んだ。視界の端に赤い髪の毛が入る。あ、レノだ。縮こまってた体を伸ばしながら顔を上げようとすると、そっと腰に手を回され、引き寄せられた。

「これで寒くないだろ?」

 小柄な私を斜め後ろから抱きしめる。「レノがいるからね」と伝えると、首元に顔を埋めてきてまるで犬のよう。頭を撫でると更にすり寄ってきた。時折かかる息がくすぐったい。
 今日も胸元を大胆に、開放的しているけど寒くないのだろうか。真冬でも開放的にしているし、彼の美意識なんだろうけど…。


「こんなところで私と居ても大丈夫なの?タークスのエースさん」

「大事な充電タイムなんだぞ、と」

 ここ最近任務が立て込んでいるみたいで、お疲れのようだ。私に構っていないでちゃんと休んで欲しいけど、こうやって会いに来てくれるのが嬉しくてついつい甘やかしちゃう。

「レノ、今度のお休みわかったら教えてね。私もお休み取るから。一緒にゆっくり過ごそう…?」

「あー、もうそういうところ…」

 少し強めに彼の顔がある方へ向かされたと思ったらキスをされた。それも軽くではなくて深く。突然のことに驚いたが、身を任せる。
 どのくらいキスをしていたのだろうか。レノの唇が離れ、もっとキスしたいと思い見つめていると抱きしめる力が強くなった。

「愛してる」

 耳元でささやく彼の声にドキッとする。良い声でささやかないでよ…!顔に熱が集中してしまった私は両手を顔に当て、天を仰ぐ。

「良い子で待ってろよ、と」

 私の頭をひと撫でして離れてしまう。レノが離れてしまったことによって急に寒さが訪れる。もっと、もっとそばに居たいのに…。任務へ向かう彼の後ろ姿。どんどん小さくなっていく。我慢できずに、その背中へ走っていく。

 レノに追いつき、ギュッと後ろから抱きつく。怪我しないでね。生きて帰ってきてね。行って欲しくない。今まで我慢していた感情が溢れてくる。

「オレの帰るべきところはここだから」

 だから俺の帰りを待っていてくれ。ってそんなのずるすぎる。あなたの抱えるもの全てを一緒に背負うことはできないかもしれない。でも、私はずっとあなたの味方で、帰るべき場所であるから。


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2020/10/15




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