先にライフストリームへ還ることを許して欲しい。ごめんね、レノ。あの約束、守れそうにないです。
日に日に弱っていく…、いや死へと近づくこの身体。
--あと何日私の身体は保つのでしょうか?
--病室のベッドが私の居場所となって、何日経ったのでしょうか?
先日、顔を出してくれたルードにお願いして買ってきてもらったノート。今日からペンが握れなくなるまで日記を書いていこうと思う。
10月X日
今日から日記を書く。私の命が尽きるまで。
さて、今日も私がいる個室の病室に朝日が差し込むところから1日がスタートする。秋も深まり、だいぶ空気が冷たくなった。去年の今頃はもう少し気温が高くて…。一緒の任務だったレノの胸元みても、寒さで肌が赤くなってなかったはず。今年は寒いから赤くなった肌を晒してるんだろうね。寒いなら、胸元そんなに開けなければいいのにさ。「俺の美意識に反するんだぞ、と」って言ってたけどね。
10月XX日
レノがエアリスのところに行った時に喋ってしまったようで、涙が今にも溢れそうなんだけどぷりぷり怒ってるエアリスが病室に来た。「最近来てくれないから寂しかった!なんで、言ってくれなかったの!」って。ごめんね、エアリスの悲しむ姿を見たくなくて。でも、言わないのも…だったね。また、来てくれるって。
病室が殺風景すぎるからと、可愛くて綺麗なお花持ってきてくれるからタークスの男性陣とは違うな、なんてね。
10月31日
今日はハロウィンらしい。病院内の飾り付けがカボチャ、おばけでいっぱい。それと仮装した子どもたちが看護師さんにお菓子をもらっていた。
私のいる病室にも、子どもたちが訪れてきた。「全然ハロウィンになってない!」って言ったと思ったら、どこからか飾りを調達してきて、殺風景な病室にオレンジと黒が。「オレら優しいおばけだから、お菓子あげるんだぞ!」って看護師さんからもらってたお菓子を分けてくれた。とても優しい子たち。
夜、ベッドから外を見てハロウィンっていいものだな…と思っていると、シーツをかぶったレノがきた。どうやら、病院のシーツをお借りしたらしい。看護師さんごめんね、うちのやんちゃ坊主が。
おばけのレノが「トリック・オア・トリート」と言ってお菓子をせがんでくるのかと思ったら、逆に沢山のお菓子とお花をもらった。エアリスの手作りお菓子とお花。そして、私が好きな洋菓子店のフィナンシェやマドレーヌ、マフィンを。これはタークスのみんなからだそうだ。すごく嬉しかった。
11月X日
ハロウィンが終わるとすぐにクリスマス。ついこの間までオレンジと黒の装飾が目に入ったのに、今度は赤と緑、そして白だ。私の病室から見える大きな木に飾り付けがされた。夜はライトアップされ、たくさんの色にひかる。
…もう、冬なんだね。
11月XX日
11月もあと少し。今日は、なんとツォンさんが来てくれた。それにルーファウス副社長も。この病院に用があったみたいで、そのついでらしい。ふたりに久々に会えてよかった。
今の神羅、タークスのことを教えてくれた。こんな状態なのにまだタークスに席があるようだ。もう戻ることはできないので、てっきり…ね。お役に立つことができず申し訳ないです。
12月XX日
もうそろそろ…かもしれない。鎮痛剤が切れると激痛が走り、動けなくなる。
最後にタークスの服を着て、ミッドガルを回りたかったな。
12月24日
今日はクリスマスイヴで病院内が賑やか。入院してる子供たちがはしゃいでいた。明日起きたらプレゼント何もらったか見せ合いっこしようね…って。でも私にはもう無理なこと。この日記を書くのも、今日で終わり。
メリークリスマス。そして、みんなありがとう。
追伸:レノ好きだったよ
***
--先に還帰ること、許して。ごめん、レノ。約束守れなかった…
日に日に衰えていくアイツを見たくなくて、たまーにしか顔を出さなかった。おそらくアイツも見られたくなかったんだろう。相棒から、「お前らは頑固だな」と言われたから。
「こんなに早く還ること、ねえだろ…」
毎年クリスマスになるとミッドガル…いや、エッジを見渡せる丘にきて、あいつが好きだった花を置く。お前と相棒と駆けずり回ったミッドガルは色々あって壊滅状態になったから、今はエッジという新しい街ができているんだぞ、と。
「お前がいなくなってもう…」
何年経ったんだろうな、数えたくもない。あー、今思えばこれ毎年思ってぼやいてるな?未練タラタラすぎるぞ、と…。あいつが病室で書いていた日記は、俺が持っている。痛む身体で必死にペンを持ち書いたであろう日記は日に日に字が汚くなっていた。そんな中、最後に俺への気持ちを書いて…なんで直接言ってくれなかったんだよ。
俺も同じ気持ちだったのに、な…
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2020/12/14