静かな病棟、そして真っ白で私ひとりの病室で過ごしていると気が狂いそうになる。そんな静かな病棟も季節のイベントがあれば賑やかになるのだけど、今日はまさにそれで”クリスマスイヴ”なのだ。入院してる子供たちが浮かれて、はしゃぎ回っている。15時くらいにちょっとしたクリスマスパーティーをするみたい。私も誘われたけど、こんなボロボロの身体じゃ折角の楽しい雰囲気をぶち壊してしまいそうということで不参加にしてもらった。


--明日起きたらプレゼント何もらったか見せ合いっこしようね!

 ふと、病室のドアの向こうで子どもたちが話している声が聞こえた。でも私にはもう無理なこと。震える手で日記を開き、最後の力を振り絞って書く。この日記を書くのも、今日で終わりなんだなと思うと自然と涙が溢れた。どうして私なんだろう。もっと長く生きていたかった。

メリークリスマス。そして、みんなありがとう。まぶたを閉じれば、最後。私はもう瞳にこの世界を映すことは叶わないだろう。あーあ、最後までレノに伝えることができなかったな。

 最初はなんだこのクソ生意気なヤツは!って思っていたんだけど、尖ってた君が徐々に丸くなって大人になっていく過程を見て…そしてあの任務で助けてくれて、あの日君を好きになってしまった。
 尖っていた理由も一緒に任務行くうちにぽつりぽつりと話してくれて、少しずつレノのことを知ることができたあの喜び。今でも忘れない。先に還ることを許してね。タークスのみんな、ありがとう。

 動かない身体を無理やり動かし、窓の外を見ると真っ暗な夜空に数個の星が見えた。雪は流石に降らないか…。

 未練がましいけど、最後…貴方に会いたかった…。

***

 病院から連絡が入り、アイツがライフストリームへ還ったことを知った。ルードと共に急いで病室に駆け込むと、ベッドの上に彼女が横たわっていた。安らかな顔をして。死んだことを認めたくなくて、病室から飛び出した。
 最後に想いを伝えたかった。伝える機会なんていくらでもあっただろ。後悔しかなくて、ふらふらミッドガルを歩いていると白い粒が視界に入った。立ち止まり、夜空を見上げると雪が降っていた。よりによってホワイトクリスマスかよ…、と。クリスマスに任務が入るたび、「雪が降っているクリスマスを見てみたいんだよね」って言ってた。

「もう少しだけ早く降ってくれたら、あいつも見れたんだぞ、と。空気読めよな」


 行く宛もなく俯いてふらふらと歩いていると、突然目の前に現れた壁にぶつかった。壁にしては柔らかい…?顔を上げると、ルードがいた。

「…こういうときくらい泣いても許されるだろう」

 ああ、そうか。泣いてもいいのか。そう思った瞬間、涙がこぼれ落ちた。一回溢れてくると止まらない。

「くっそ…。なんでアイツなんだよ…」

「…そうだな」

 オレの横にいるコイツも若干鼻声で。お前タークスみんなに愛されていたんだぞ、と。

 カップルたちが楽しそうに過ごしている中、男ふたりで仲間の死を弔った。



Twitterにて開催されていた祭り『クリスマス』に参加
2020/12/24




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