最近自席に座ることが殆ど無く、ずっと外に引っ張りだこで書類を消化することが全くできなかった。
今日は久々にオフィスでデスクワーク。自席で溜まりに溜まった書類を消化することに徹していた。



デスクワークを長時間行っていると身体が固まるし、集中力はなくなる。今日はそこにプラスされた連日の徹夜による体力消耗。私の身体と意識は限界だった。徹夜続きでテンションが狂ってしまってるところにこの書類たち。


「今日も徹夜だぞ、と…」


同僚の口癖を真似して呟いてみたが、実際徹夜できる状態ではない。頭が正常に働いていないため、書類が全く減らない。少しだけ仮眠をとってリフレッシュしようと思い、20分後にアラームをセットする。これで大丈夫…なはず…。みんな出払っていて誰にも頼めないし、もし20分後起きれなくても…スヌーズでなんとかなるはず…と、少し不安は残るが寝よう。
背もたれと背中の間に挟んでるクッションをデスクの上に置き、顔を埋める。

おやすみなさいと、私は目を瞑った。










ゆさゆさと私の身体を誰かが揺らしてくる。
薄ら目を開けてみると、赤い髪の毛が見えた。なんだ、レノか…あと少しだけ寝かせてよ…と再度目を閉じる。

「おい、そろそろ起きろって。長時間その体制で寝ると体辛くなるぞ、と」

「あと5分…」

「はあ…もう少しで定時になるぞ、と」

え、レノ今なんて言った…?定時…定時と言わなかったか?
ガバッと上半身を起こし、時計を見ると20分だけ寝ようと思っていたのに3時間も寝てしまっていた。

嘘だろ…と溢せば、レノがこっちを見て失笑している。なんでみんな起こしてくれなかったんだよお…なんて思っていたら、レノに頭を撫でられた。


「積み上がってた書類はルードと手分けしてやっておいたぞ、と」

ふとデスクの左側を見ると、寝る前は山積みになっていた書類がなくなっている。
え…と思い、向かい側斜め前に座るルードと私の横に座るレノを交互に見る。

サングラスが少し下がっているルードと目がしょぼついているレノ。


「…レノの提案だ」

「余計なこと言うなって」

レノは少し照れ臭そうにし、そっぽを向いてしまった。
得意ではないデスクワークを自ら…しかも同僚のをやるってどう言う風の吹き回し?何かいいことあったんだろうか?それとも何か対価を求めてたり…。でも、レノの態度を見る限りそういうことを求めてるわけではなさそう。



「2人ともありがとう…」

素直に感謝を伝え、お礼させて欲しいんだけどと言うと、ルードは"レノから貰うから大丈夫だ"と…。え、レノから?レノがルードを巻き込んだからなのかな?まあ、ルードがそう言うならいいんだけど…。


「レノは…?」

「…デート1回だぞ、と」

「それでいいの?」

「それがいいんだぞ、と…。」

耳を赤く染めて照れ臭そうに言うレノが凄く可愛くて、こんなレノ見たことない。いつも余裕そうにしてるし、女の子とも遊び慣れてそうな…あのレノが。

ふふふ、と笑うと、"笑うなよ"とむすくれて言ってくる。なにこのレノ、やばい凄い可愛い。レアなレノだ、写真に残したい。


「デートプランはレノね。当日楽しみにしてる!」

荒ぶった心を落ち着かせ冷静を装い、頬杖ついてレノの方を向き伝えると、"おー…楽しみにしとけよ、と"と言い、オフィスから出て行った。
なんだかんだ一緒に働いてるが、今日は貴重なレノを沢山見れた。まだ日程は決まっていないがデート楽しみだな…と思い、ぬるくなってしまったカフェオレを飲む。緩んだ顔を戻すのにしばらく時間欲しい。


「…嬉しそうだな」

「珍しいレノ見れたからね…」

「…それだけじゃないだろう」

「なんのことかな…?」

ルードは"ふっ"と笑い、モニターの方を向く。食えないやつだ。こいつ、私の想いを知ってて態と言ってくるんだから。



気持ちを切り替えて、明日の任務を確認すると、古代種…エアリスの警護だった。
そうだ、折角エアリスに会えるんだし、レノとのデートで着る洋服について相談しよう!少しくらいおめかししてもバチは当たらないよね…?と思ったところで、ふと…全然気持ちを切り替えられていないことに気づく。レノとのデートで浮かれすぎでしょ…と思わず苦笑してしまう。







翌日、エアリスに相談したら善は急げと任務中なのにも関わらず、洋服やメイク用品を買いに行ったのはツォンさんには内緒だ。
…報告書では[エアリスの買い物に付き合う]にしたけど、バレないといいな。





2020/05/31




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