Kiss!Kiss!Kiss!

「グクって逆になにが駄目なわけ?」

と聞かれたところで、自分にはむしろ駄目なところしかないし、としか言いようがなかった。だって、本当に俺はまだガキだし、ヒョン達みたいにかっこよくあれこれできることが少なすぎる、と思う。
質問してきたテヒョニヒョンはといえば俺のことを本当に純粋な瞳で見つめてくるものだから、その期待、的なものに答えられそうにない俺はぐっと喉を詰まらせた。
言い淀んで視線を彷徨わせていると、ヒョンは俺を壁際に追い詰めるように一歩一歩ジリジリとこちらに寄ってくる。

「ヒョン…、まずは落ち着いて」

「落ち着いてるけど?」

「ああそうだね、でもそうじゃない」

まずはこっちに歩いてくるのをやめてほしいんだよ!と言う前に、俺はいつの間にか壁際に追い込まれてしまっていた。
背中についた壁の感触に息を呑むと、顔の横にヒョンの綺麗な手が押し付けられた。

「ッ、?」

「ねえ、グクの駄目なもの、なあに?」

「だめ、って、」

キラキラと綺麗な瞳に見つめられて、緊張のせいで心臓がドクドクと嫌に跳ねる。
スルリと頬を撫でる指先が擽ったい。冷たいその感触に、ピクリと体が震えた。

「ぁ、」

どうしよう、こんな雰囲気、いやだ。
視線をヒョンから逸らしてしまうと、今度は顎を掴まれて無理やり目を合わされた。視線が絡み合う。ねっとりとした執着と、熱の篭った視線は俺の脳内をじくじくと溶かしていった。
ごくりと唾液を飲み込み、顎を掴む力の強さに驚いているのもつかの間、視界には目を瞑ったヒョンの綺麗な顔が広がった。
キスを、されたのだ。ヌルリと入り込んでくる舌がヒョンの指先とは対象的に熱くて、その温度差に目を見開いた。

「んッ、?!、……〜ふ、っぁ、」

後頭部に優しく手を這わせ、そのまま首あたりを撫でながらはむはむと唇を啄んだり、口内に舌を蹂躙させてくる。合わさった唇の隙間から、どちらのものとも取れない熱い息が漏れた。

「ぐく、…」

「ひ、ッ…、」

くぐもった声で名前を呼ばれた瞬間、電流のような衝撃が背筋を駆け抜けた。
テヒョニヒョンのこの色気はなんだ。普段の四次元からは想像できない、いや、むしろ四次元だからこそなのかも知れないけれど、俺には到底できまい色気を放つヒョンから目が離せなかった。

一度は離れていった唇を名残惜しく思っていると、また優しく唇が合わさった。
ちゅ、ちゅと何度も味わうように啄まれ、その擽ったさに少しだけ身をよじった。またヌルリと口内に侵入してきた舌先で歯列を丁寧に一つ一つなぞられる。その形や感触を確かめるように、ゆっくりと動く尖った舌先の動きに、背筋がぞくりと痺れた。

「ふ、ッ、…んむ、ん、」

それから、テヒョニヒョンの舌先はどんどんと奥に進んでいった。
奥に引っ込んでいた俺の舌を絡めとり、その表面を優しく撫でつける。執拗に絡まれた舌はどんどんと引き寄せられてしまい、ついにはテヒョニヒョンに甘噛みをされてしまった。

「ぁ、ん、〜〜!、…ッはう、」

甘い刺激に、腰がずくんと重くなるのを感じた。
優しく噛んだかと思えば、今度は強く吸い付かれてビクリと腰が跳ねた。

そうやって嬲られた唇の間から、どちらのものとも取れない唾液が漏れる。
顎を伝うそれをヒョンは舐め取って、そのまま首筋まで落ちていった。

「は、ッ、……ぁう、」

今度は首筋に強く吸い付かれて、妙に変な声が出てしまう。
ああ、なんてことだ。まさかテヒョニヒョンとこんなことをしてしまうなんて。しかも、もっとしてほしいと思ってしまうなんて。

「グクがかわいすぎて、とまんない」

顔をあげたテヒョニヒョンのギラギラとした射抜くような視線と、頬を赤らめた可愛さのギャップに俺の頬もだんだんと熱を帯びていった。

「ひょん、…ッ、だめ、」

「なんで?…ここまできたんだから、もう遅いよ」

そう言って腰を撫で付けられ、ついに全身の力が抜けてその場にへたり込んだ。

頭上からはヒョンの笑い声が聞こえる。
ああ、本当にもう手遅れだ。だって、もう俺の頭の中はヒョンでいっぱいになってしまっているのだ。先程の熱に浮かされた体はもう蕩けきっていて、何がなんだか分からなくなってしまっていた。

「グクは、きもちいのが駄目なんだね」

「なっ、…んぁ、!」

しゃがみこんで目線を同じにしたヒョンに、唐突に下半身を無遠慮に触られて思わず声が出てしまう。
ビクリと腰を震わせて、目の前のヒョンに抱きつくと耳にキスを落とされた。
ヒョンの言うとおり、俺のものは熱を帯びてゆるく存在を主張していたのだ。それを目敏く見つけてしまったヒョンに弄ばれて、俺の目尻に涙が溜まった。

「グク勃ってるじゃん、……かわい」

「ひ、ッぅ、」

やだやだ、と手を伸ばしてヒョンの腕を掴もうとしたけれど、逆に掴まれて胸の前で固定されてしまう。
俺はビクビクと体を跳ねさせて、この快楽が止むのを待つしかなかった。

「ぅう、も、やだ、…ッ、」

「やだやだ言わないの〜、俺傷付くよ?」

「ぅあ、ッ、…〜!、ぁ、ん、♥」

さっきよりもエスカレートして動く手のひら。ついには服の中に侵入してきたそれに、もう何をしても無駄だと悟った俺は、最後に力の限り叫んでやった。

「ジミニヒョーーーーーン!!!!!」

「あっ、グクずりぃぞ!!!」

その後、俺の叫び声を聞いて駆けつけてくれた王子様みたいなジミニヒョンの話はまたあとでしよう。