スルリと突然横から伸びてきた腕にぎょっとしていると、いつの間にかそれは腰辺りに巻き付いて離れなかった。
「え、ッあ、…?!」
指先が脇腹を撫でて擽ってくる。
もう片方の手のひらで隠された視界。一つの感覚が失われた今、体はいつもよりも敏感になっているようだった。
柔く脇腹を揉まれるだけでもびく、と腰が跳ねてしまう。それを小馬鹿にしたように後ろの人物は耳元で笑った。
「グク」
低くて心地よい、頭の中に直接響いてくるようなこの声。
「て、ひょにひょ…ッ、?ぁ、う、」
そうだ。この目元を覆う大きな手のひらも、この少し高い体温も、この声も、全部全部ヒョンなんでしょう?
服の中に滑り込んできた手のひらで体を撫で付けられ、それだけでも声が出てきてしまう自分の身体はよくこの人に調教されているみたいだ。
「そう、正解」
ペロ、と熱い舌で耳を舐められる。
徐々に疼いてしまう腰。本当に単純な身体だ。
「は、な、にして、…ッ、ぅあ、」
いつの間にか身体は柔らかいベットの上に沈んでいて、反発しようと上体を起こそうとしたけれど、ずぶずぶと布団の中に取り込まれていってしまうだけだった。
開けた視界に映ったのは、ヒョンの酷く欲情した顔。それを見た自分さえもぞくりとした興奮が体中を掛け巡った。
こくんと口の中に溜まった唾液を飲み込む。
ゆるりとしたカッターシャツに手を付け、一つ一つボタンを外された先に現れたのは赤く熟れた粒。ヒョンはぺろりと真っ赤な舌を出し、今にも食いつかんばかりにじっとりとそこを眺めた。
「ぃや、ひょ、…ん、ッ、はぁ、」
「可愛い……ここも、ここも、ぜぇんぶ食べちゃいたい」
そう言って耳、唇、胸をなぞっていく指先にぞくぞくとした快感が背筋を駆け上がる。
ああ、はやく、はやく触ってほしい。そう思い、焦らすだけの綺麗な手を掴んで自らの胸元まで持っていった。
「は、やく、さわって…、ッ、」
…
「ぁう、…ッ、ん、〜ひ、!」
コリコリと固くなったそこを指先で摘みながら刺激される。それだけでもびくんっと腰が跳ね、恥ずかしさでじわじわと耳が赤く染まっていった。
それを見たヒョンの口角がだんだんと上がっていく。
どくんどくんと心臓が跳ねた。緊張、期待、焦燥。色々な感情に頭の中がぐるぐると掻き乱されていく。
「ひぐっ、?ぁ、ぅあ、ッや、め、…〜、!」
きゅうっ、とそこを強く引っ張られた痛みにじわりと涙が浮かぶ。
そしてそれは、その痛みの中にある快感を拾ってしまった自分にちょっとした焦りのような混乱を受けたことに対する涙でもあった。
「これ、きもちぃでしょ?」
「ん、゛ぁう、き、もちく、なんか、ッ…、ッひ、ゃ!」
否定をしたいのにしきれない。ぶんぶんと首を横に振るけれどもきっとこんな感情はヒョンにバレている。
ヒョンは俺を弄ぶようにそこを爪でカリカリと引っ掻いたり舌先で突いてきた。
散々そこで遊んだと思ったら、次に手が伸びてきた先は下半身。
どくんと心臓が高鳴る。
今そこを触られたら、俺はどうなってしまうのだろう?
「グク」
熱い吐息を含んだ声が耳元で聞こえ、体がびくんと震えた。