コツコツと大きく足音が響くこの空間は、やけに暗くて静かだった。人気がなくて、一人でいることが少し寂しくなる。まあ、ここは誰にも知られてはいけない場所だから当たり前なのだけれど。
一人、暗い廊下をひたすら歩き、ついに目の前に現れた扉をガチャリと開ける。
そこにはたくさんのパソコンの画面がずらりと並び、その明かりだけで部屋の中は明るくなっている状態だった。
相変わらず変な空間だ。
そんな異常な空間に一人、ポツンと椅子に座って忙しなくキーボードを叩いているの人物がいた。それは、この部屋の主である情報屋・ジミンだ。
ジミニヒョンは、チラリと一度こちらに視線を向けると、また明るいパソコンの画面へと視線を戻してしまった。
「ああ、やっときたの?僕待ちくたびれてポテチ一袋食べ終わっちゃったよ」
そう言ってペロリと覗かせた舌は、赤く妖艶に濡れていた。それが何だか色気のあるものに見えてしまい、俺は咄嗟に視線を外してしまった。
「…すいません」
「まあいーけど」
そう言いながら、ジミニヒョンは焦らすようにゆっくりとこちらに近づいてくる。ネクタイを緩めてニヤニヤと不敵に笑うヒョンに、俺は嫌な予感しかしなかった。
ジリジリと逃げ場を失っていく。
ついに壁に背がついてしまった時、俺はしまったと思いすぐその場から退こうとしたけれど、それはもう遅かったようだ。
ぐっと肩を押され、俺はヒョンの目の前に座る形になる。そうして顎を掴み、無理やり上を向けさせられた。
「っ、なに、」
「どうしても欲しい情報があるんだよね?」
ぴくんと体が震えた。顎を掴む手が段々と下へ下がっていき、首筋、鎖骨、胸を順に撫でてきたのだ。
「タダであげられるようなもんじゃないんだけど?」
「ど、うすれば、っぁ、」
いつの間にか服の中に入ってきた冷たい指先に、くにっと胸の突起を摘まれた。
わかるでしょ?
目でそう言ってきたジミニヒョンは、また赤い舌をペロリと覗かせた。
…
「んッ…ぅう、っんく、」
もうそろそろ顎が痛くなってきた。苦しくてしょうがない。俺の口の中には苦い味が広がり、そのせいでどんどんと生理的な涙が溢れてきた。
目の前に立っているジミニヒョンのスラックスをぎゅっと握り、苦しさを紛らわせようとしたけれど、ヒョンはお構いなしに喉奥へとそれを突っ込んでくるのだ。
「?!、ぅう、ん、ッん、ぅ、!」
「はー、さいこー」
ヒョンをギロリと睨みあげると、恍惚とした表情で俺を見つめる瞳と目があった。ニヤリと笑いながら優しく頭を撫でていたヒョンは、今度は力強く頭を押してくる。
「ん、いきそ、」
「ッう、んぅ、う、!」
そう言って口の中に吐き出されたそれは、苦く口内に絡み付いて気持ちが悪かった。けれどジミニヒョンはそれを吐き出させないように俺の口元に手を当てるものだから、仕方なくゴクリと飲み込むしかなかった。
「よくできました〜」
「最悪、ッまず、」
パチパチと軽く拍手をしてくるヒョンに殺意が湧いてくる。
けれど、これでやっと情報を手に入れられる。そう思い立ち上がろうとすると、今度はぐるんと視点が回転し、目の前には天井とジミニヒョンのニヤニヤとした笑みが広がっていた。
「え?」
「まだまだ終わりなわけないじゃん?」
あくどい笑みを浮かべるジミニヒョンは、俺のベルトに手をかけていた。
「ちょ、っとまってくださ、最後までなんて、!」
「言ってないね。…でも、これで終わりとも言ってないよね?」
そう言ってジミニヒョンは俺の唇に噛みついた。
下唇を柔く噛み、ヌルリと口内に舌が侵入してくる。さっき自らの白濁をこの中に吐き出したばかりだろ、とヒョンの頭を疑ったが、やっぱりどう考えてもヒョンは頭がおかしいようだ。
「ん、っむ…ッぅあ、…ッ、」
口内で散々暴れた舌が離れていった頃には、息は絶え絶えだった。
「はぁ、は、…ッ、」
「はあ、やっぱりせーしってまずいや」
そう言って口を拭ったジミニヒョン。
ギロリと睨みつけても、帰ってくるのはにやにやとした笑みだけ。もう、こんなこと早く終わらせてほしい。初めての経験に気が狂いそうだった。
と、今度は滑らかな手つきで上半身をはだけさせられる。外気に晒されたそこは少し寒くて、ふるりと体が震えた。
「はは、怯えてんの?ほんとかわいー」
「うるさい、ッ…ぁ、!」
冷たい指先が胸の突起に掠め、思わず声を出してしまう。
ジミニヒョンはにやりと笑うと、そこを重点的に攻め始めた。
「ひ、っぁ、…ッん、」
「ここきもちいんだ?」
「ち、がぅ、…〜〜ッんぁ、!」
冷たい指先でそこを挟み、押しつぶしてくる。そこを挟み込んだままもみ潰すように刺激されれば、気持ちよさに腰が揺れてしまう。
弾いたり引っ掻いたり、いろいろな刺激を与えられたそこは、もう真っ赤に腫れ上がっていた。
「ぁ、は、…ッひぅ、」
「あーあ、こんなに赤くなって…、女の子みたい」
ジミニヒョンはニヤリと笑うと、今度はベルトを外そうと手を伸ばしていた。
「?!、ま、まって、!」
「え、やだ」
抵抗も呆気なく脱がされてしまったスラックスを見つめていると、いつの間にか後孔に指先が触れていた。
撫でるようにそこを触っていた指先は、ゆっくりと中へと侵入してきた。
「ぁ゛、ッ、んぁ、…ゃあ、!」
「あっつ、…ッ、」
ジミニヒョンは恍惚とした表情で指を出し入れいてくる。
指が気持ちいいところを掠めるが、それはどうにも決定打に欠けていて物足りなかった。
あれ、なんで物足りないとか思ってしまったんだろう?
自分の思考に困惑していると、いつの間にか指は引き抜かれ、代わりにそこにはジミニヒョンの熱いものがあてがわれていた。
「はぁ、いれるね、」
「ぅあ、あ、…ぃ゛、っん、〜〜〜゛!」
メリメリと肉壁を割くように割って入ってくるそれ。その質量に、息が止まりそうだった。
は、は、と浅い呼吸をしていると、ゆるゆると動き出すジミニヒョン。指では届かなかった気持ちいいところにすぐに当たって、頭がおかしくなりそうだった。
「ひぁっ、?!、ぃや、まって、うごかないでっ、!」
「むり、まてない」
そう言ったジミニヒョンは、今までにないくらいに男らしい表情をしていて、思わずそれに見惚れてしまう。
ああ、もう。俺は引き返せないところまで来てしまったようだ。
…
「はい、これね」
「………ありがとうございます」
痛む腰を無視し、渡されたUSBを受け取ろうと手を伸ばした。
が、その手はジミニヒョンに思いっきり引っ張られ、彼に抱きつく形になってしまった。
「い、ッ、!」
「また来てね。………いつでも情報あげるからさ」
腰を撫でながら耳元でそういう彼に、ビクリと体が震えた。
「も、もう来ないです!」
「そう?」
赤くなった頬を隠すようにジミニヒョンから離れ、さっさと部屋を出ていく。
最後に見たジミニヒョンの顔は、あの時のようなにやにやとした笑みだった。
後日、またジミニヒョンの厄介になると知った俺は、絶望で膝から崩れ落ちるのだった。
「あれ、もう来ないんじゃなかったっけ?」
そう言って、また頬を撫でられるのだ。