まだ寝る時間ではないか、と感じる程度の夜。
宿舎の中はのんびりとした空気で程よい賑やかに包まれながら、みんな一時の語らいを楽しんでいた。
季節は夏に差し掛かる頃。
冷房をつけるにはまだ早いが、それでも暑さは体にまとわりついてくるから快適とは言えない。だからか、ここにいるメンバーはTシャツやジャージ程度の薄着をしているものが多かった。
こうすれば幾分かはマシになる暑さに、メンバーはだらりと身体を休ませていた。
ジョングクも同様、暑さに耐えかねて白の薄いTシャツを着ていた。
同じくその格好でいるものが多いから誰も気にしないでいたが、そんな中でも目ざとく注目するものがいた。
「ぎゃあ!…っ、て、なんですか!」
「やー、お前は本当に腰が細いなあ、と思ってね?」
はっはと悪びれもなく笑うのはソクジンであった。
水を飲もうとソファを立ってソクジンの前を通り過ぎようとした時、がしっと強く腰を掴まれ、引き寄せられた。
ソクジンへ向かって倒れていく肢体、なんとか背もたれに手をつき、ソクジンへと覆いかぶさるような格好になった。
「でもなんでこんなに細いの?筋肉はあるくせに」
「く、くせにとか言わないでください」
いつものような平穏な空気かと思えば、どこか違う。他のみんなも薄々は感じ取っていたそれ。誰かがごくりと唾を飲んだ。
が、そんな空気を察知するほどの余裕のないジョングクはソクジンの手から逃れ、さっさとこの話を切り上げようとした。これでこの話は終わりか、…と思いきや。
「ほー……、確かに細えな」
「ちょ、ゆんぎひょ、」
二人の騒ぎに目を留めた連中、その中の一人が先程のソクジンと同様にジョングクの腰を掴んだ。ユンギだ。
「やめてくださいってば」
「諦めろ、お前が変な反応をした時点で負けだよ」
「なっ、……」
ユンギの言うとおり、ソクジンを中心にあと一人、テヒョンがあくどい笑みを浮かべながらこちらを見つめていた。
完全に面白がってはいるが、このまま大人しく弄られるのも癪に障る。
だが、そうは思っても大の男三人に囲まれてしまえば、いくらジョングクでも抵抗は意味がなく。
ひくり、ジョングクの頬が引き攣るのだった。
…
散々弄られてから本来の目的である水を飲みに行き、自室に戻るとそこには一人の男。
携帯を弄っていた顔を上げてこちらを見る目は、ジョングクを見つけると糸のように細くなった。
「おかえりじょんぐぎ、さっきは散々だったね」
あの大騒ぎに一人、交わることもなく静かに見守っていたのはジミンだった。
「あぁ、…いや、何なんですかね、ほんとに」
肉体的にも精神的にも疲れを感じる具合に、思わずベットへとダイブした。枕へと埋めた顔、慰めるようにふんわりと頭を撫でられた。
「でもよく平気だったね」
「あー……、まじでひょんのこと殴りそうでした」
あまりに騒ぐと、流石に他のメンバーに迷惑をかけてしまう。だから我慢をしていたのだけれど、そのおかげで精神的には酷くダメージを受けた。
そう告げると、ジミンはそうじゃなくて、とやんわりと否定した。
「?、じゃあなにが…」
「反応、よくしなかったねってこと」
「はんのう…?」
「僕が触るともっと敏感に反応してくれるじゃん、可愛い声出してさ」
「なっ、ば………ッ!!」
思わずジミンの口を塞いだ。
ここは自室ではあるけれど、もしも誰かに聞かれていたらと思うと、ジミンの言葉は実に焦るようなものだった。
だが、ジョングクの思ったように誰かに聞かれていることはない。それにジョングクが気付いてほっとその手を下ろしたとき、ジミンは空いた手でジョングクの腰をぐいと引き寄せた。
「___、ッ!ゃ、ばか、……ひぁっ、!」
撫でただけでその反応。先程他の連中に触られていた時とは明らかに違う反応に、ジミンは小さくほくそ笑んだ。
ああ、僕のじょんぐぎ、本当に可愛い子だ。
もっともっとその可愛い声を聞かせて?
ジミンがジョングクを愛撫する手を止めることはない。
少し涼しくなってきた夜中、二人の男による営みが始まる時刻であった。