眼鏡がないと!

なんだか今日は目が疲れている。
いつもずっとコンタクトを入れているからかな。今日は仕事もないし、久しぶりに眼鏡にしようかな。
僕はそう思って眼鏡を掛けた。お気に入りの、丸縁眼鏡。
眼鏡を掛ければあれだけぼやけていた視界が一気に鮮明になる。
よし、たまには動画の編集でもしよう。





「へ……?」

パソコンの画面をじっと見つめていると、急にぼやける視界。
おかしいと思って顔に触れると、そこに掛けてあったはずの眼鏡がなくなっていた。
取られた? そう思って振り向こうとしたら、誰かに後ろから抱きすくめられる。

「ぁ、え、……っひょん?」

今僕を抱きしめているのは誰?
どうしても見えないから誰かと聞いたのに、その人はなんにも答えてくれない。
僕が混乱していると、その人の手が服の中に滑り込んできた。
するり、腹筋をなぞるように指先で擽りながら、徐々に胸元へとたくし上げられる。
ついに頂点へとたどり着いた手は、僕の左胸の先端をきゅっと強く抓る。

「ふ、ぁっ、……ッひょん、ゃだ、ねえ、ひょん、…っ?」

なんで返事をしてくれないの。
僕はまるで知らない人に身体を触られているような錯覚に陥り、徐々に恐怖心に身体を包み込まれていくのを感じた。
じわりじわりと涙が押し寄せて来る。
そんな中、視界にはきらきらとした金が映り込んできた。目が悪い僕でもちゃんと認識できるほどの、美しい金。
唇に熱い何かが押し付けられる。それが唇だと気づいたのは、目の前が金でいっぱいになったから。

「ん、む、……っふぅ、…〜ん、んっ、……、」

ぬるり、熱い舌が僕の口内を嬲る。
知らない人、いや、実際は知っている。ひょんに絡めとられる舌が気持ちよくて、気持ちよすぎて身体が震えた。

「は、ぅ……っん、ふ、……っ〜〜、ぷは、」

遂に唇が離れた時、僕とひょんの間に銀色の糸が引く。
離れていく金に名残惜しさを感じていると、視界がぱっとひらけて、てひょにひょんの綺麗な顔が僕を見つめていた。

「ひょ、ん、…ってひょにひょ、」
「うん、ひょんだよ」

ぎゅうっと抱きつけば、抱きつき返してくれる逞しい腕。
それに安心してまたぽろりぽろりと涙が溢れた。

「ふ、ぅ、…っこわかった、ひょん、ひょん…っ〜〜、ん、むぅ、ッ、」
「ん、ぐく、ごめんね」
「ぁぅ、…ッ、ん、〜、ふぅ、」

ちゅ、ちゅと吸い付くようにキスをする。
さっきまでの恐怖心なんて欠片もなくなっていて、今あるのはひょんに対しての安心感と、愛おしさだけ。
そしてずっとキスをしていると、また視界がぼやけていってしまう。

「ふぇ、…っなん、で、…ぁ、〜ん、ん、」
「だってちゅーしてるとき、眼鏡じゃまなんだもん」

そう言ってまた、きらきらの金が僕の視界を埋め尽くした。