壁に押し付けられていた身体が、腰を引かれたことによって前のめりになる。
その原因を作った後輩につい抱きついてしまえば、耳元で小さく笑われて恥ずかしさで頬が熱くなった。
目の前の可愛い、いや、顔だけは可愛い後輩が俺の耳にキスをする。
そして甘く囁くんだ。”僕のものになってください”、って。
ああもう、とんだ誤算だ。こいつの性格がこんなに悪かったなんて。
「ね、ブイ先輩には手を出されたくないんでしょう?……ふふ、だってジョングク先輩は大好きですもんね、ブイ先輩のこと」
「っ、うるさい、……ッぁ、」
誘惑するように耳元で囁き、そのまま耳にキスをされる。
ちゅうっと吸いつくように柔らかいキスをしたかと思えば、かり、痛くないほどに甘くそこを噛んでくる。
その小さな刺激にぴくんと肩が跳ね、腰の辺りが重くなる。
俺ってこんなに敏感だったか、と思えばそうではなくて、これは多分このおかしな雰囲気のせいなんだ。
「ねえジョングク先輩、……はやく僕のモノになってよ。ほら、頷くだけでいいんですよ?」
「でも、……だ、って、……ッぅ、く、…〜〜、ん、」
この憎たらしい後輩の言うとおり、一つ”うん”と頷くだけでここからは解放される。
でもそれをしたくないのは己としてのプライドか、今後の展開を考えてか。
「ほ〜ら、はやく先輩の考えてること教えて?…じゃないと、ほんとに手出しちゃいますよ」
ブイ先輩に。
そう言われてハッとする。そうだ、俺のプライドなんて関係ないんだ。これはヒョンを守るために、しょうがないことなんだ。
「わ、かった、…から、っだから、ひょんは、…ッ、……ぁう、?!」
唐突にきゅっと胸の先端を抓まれ、びくんっと身体が大きく跳ねる。
変な声が出てしまったのも相まってか、恥ずかしさに耐えきれず涙がぽろりと溢れる。
「ふふ、…ジョングク先輩、お利口ですね、」
かわいい。
そう囁きながらまた耳にキスをする。
そしてそのキスは今度は唇に。俺は成すすべもなく、それを受け入れるしかないのだ。
…
「……ねえ、ジフナ、じょんぐぎに手は出してないよね?」
「……………さあ、どうでしょうね?」
にやり、可愛らしい顔で笑う後輩。
その底知れない何かが俺達の関係を崩してしまうまで、俺は何も知れずにいるのだ。