I don't see any god up here. But, that time there was not a god on the ground, too.
人の想いから逃げる自分に誰かを愛することも、誰かから愛されることなど許されない。
それは自分が過去から逃げるための理由だった。そしてこれを世間では言い訳と呼ぶ。
今ではそれを否定することは無くなったが、過去の自分であったならきっとそれは不可能だっただろう。
それだけが俺自身の心を守る為の唯一絶対の盾だった。
それだけが今までの自分の行動や言動、その全てにおける意味を裏付けるものだった。
それだけが自分に出来る過去の罪に対しての償いだった。
けれどもそれも今では全てが過去の話。
気が付けば隣にいた存在はいつの間にか音を一切立てずに大切な存在になり、その存在はその言い訳の全てをいとも簡単に否定した。
俺自身の過去も未来も作り変えてしまった。といえば語弊があるかもしれない。
浮遊しながらも罪という鎖に囚われ、そこに罪償いという役を負わして満たされない自分の心を一瞬のオアシスにしていた自分の過去全て、つまり殻を彼女は見事に壊した。誰かに愛されることも誰かを愛することも知らぬままにただ己の身が朽ち行く時を待つように流れる時に身を任せるだけだと思っていた自分の未来を彼女は見事に壊した。
俺の弱さもすべて彼女は享受し、その上で優しく包み込んでくれた。
そんな彼女は今、手を伸ばせばすぐに触れられる距離で規則正しい寝息を立てて眠っている。
流れる髪に指を絡ませれば彼女は小さな反応を見せるとすっと瞳を静かに開けた。
「ん・・・琥太郎・・・?」
「おはよう」
「お・・・はよう」
透き通る瞳に俺だけが映る。
愛しい彼女の視界には俺だけ、愛しい彼女の世界には今、俺だけがいる。
なんて独占欲が強いんだろうかと思ってしまうが、その事実がたまらなく嬉しい。
知らずに回避してきた愛はどうやら依存性が高いらしい。日に日に増してゆく彼女への愛にもはや制止の術など無いし、そんなことなどさせない。増すだけ増して、収まりきらないなら溢れてしまっても構わない。それによって枯渇することなど万が一もあり得ないの
だから、何の問題も無いのだ。
そしてその愛をキミに時々、伝えてみようか。常に伝えてもいいのだけれど。
「!っちょ!琥太郎?」
両手を伸ばし、自分の腕の中に収めるとキミの頬は赤く染まって耳にまで到達する。そんな反応が愛しすぎて笑みをこぼせば次は怒ったような表情を浮かべた。
この溢れんばかりの愛しさがどうか伝わればいいと強く抱きしめればキミは観念したように腕を回してくる。
そして互いの体温が溶け合う。
キミに教えてもらった弱さを打ち破る勇気と、
キミに与えてもらった溢れんばかりの永遠の愛と、
何よりも大切な最愛のキミと、
それだけを抱えて生きてゆこう。
I don't see any god up here. But, that time there was not a god on the ground, too.
この空に神は居なかった。でも、その時神は地上にも居なかった。
だから何だというのだ。
いつだって俺を救ったのは彼女であって神じゃない。
もし神がいたとすれば、神は俺を見捨てて時を流したただの傍観者だ。
もはや神の存在の是非を問うことなど俺にとっては無意味で、そんな暇があるなら彼女と共に愛の唄を紡いでいたい。