「バジルはおとりだったんだな」

リボーンの声で我に返る。そう……だ。何となく他のことを考えようとしていたけど分かっていた。
ツナが気付いたかどうかは別として、勘が良い私はもう気付いてしまっていた。
少年が持っていた物が偽物にせものだとしたら、彼は何のために遣わされたのか……と。
でもそれを考え出したら、目の前で痛々しそうに横たわり……あの時も
必死にこのリングを渡すまいと一人奮闘ふんとうしていた少年に胸が苦しくなってくる。

いつか……恐らく彼らを見ているともっと早く偽物だとバレてしまうかも知れないけど。
この少年が命がけで作ってくれたであろうバレるまでの猶予ゆうよは毎日いきなりバイオレンスに巻き込まれる私としては
例え数日だとしても有り難い。――海外へ逃亡する準備には半日あれば十分だ(あいにく荷物の少ない女なんでね)

私の胸の苦しみが少しでも伝わったのかいなか、二人も少し罰が悪そうな顔で
横たわるバジルを見つめることしか出来なかった。

「あの人はこうなると読んでたんだろうが……相当キツい決断だったと思うぜ」
ディーノはそうだ、と思い出したようにあの人と共に日本に来たことをリボーンにつげた。
リボーンはいつものポーカーフェイスのまま、来たのかと呟いたので
私はまた波乱が巻き起こりそうな予感がして、胃が痛くなった。



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彷徨いアリス