キチンと水でいいから洗ってからがいいけどとタオルを
3人に手渡せば、クロームは相変わらず無表情だった。
ケンと千種は胡散臭そうなものを見る目で睨んでくる。
「どうしてここまでするの?」
探るような千種の一言にドキッとする。
聞かれるかなとは思っていたけれど、いざ聞かれると困るなと
内心苦笑しつつ、困ったような笑みをうかべて
「昔から困っている人がいたら助けなさいと教わったからかな」とだけ答えた。
「ふーん。お人よしなんだね」
「まぁ見ようによってはそうだし……普通は何か裏があるのかって思うよね。
でも、私が例えば知らない人たちがどこかで苦しい生活をしていたとしても
普段は何とも思わないし、考えたこともあまりないんだ。
ただ、皆はもう知ってしまった。知っているから余計に
もし放っておいて何かあったら、自分を責めてしまいそうなんだよ。
だから、これはある意味…自分のためでもあるのかな」
しばらくもう少しだけ心配だからお節介をやかせてと頼めば
ケンは照れたように、千種は興味なさそうに
そしてクロームは少し嬉しそうに微笑んだ。
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彷徨いアリス