にこやかに歯を見せて仲間だなと微笑まれ
普段なら胸キュンする瞬間だったが
脳内では別の信号がビービーと音をたてている。
ボンゴレで身柄を預かるのは同意したが
加入ということには同意したつもりはまだない。
これがあれだろうか、マフィアの恐ろしい契約だろうか。
いつの間にか借金が膨れ上がるように
もうにっちもさっちもいかなくなって
怖い人達に強制連行される未来を想像してゾッとする。
私の不安をよそに、男はそのまま続けた。
「古い記録とか……そうだ!!プリーモの私物とかが結構残ってるぜ!!」
ああ、恋愛ゲームで言えば今スチル絵くらい眩しい笑顔を堪能できない自分が憎い。
そんな恨みがましいことを思いながらも感じるのは
古い屋敷特有の少し乾いた……埃くさい匂い。
アレルギー持ちの私から見ると嫌悪すべきなんだろうけど
胸の奥がぎゅうっとなるような、切ない時間がとまった空間。
人の往来はあるが、誰も住んでいないだろうなって感じる寂しさ。
部屋の外は静まり返っていて、時折通り過ぎる人の足音だけがやけに大きく響いた。
――まるで、この屋敷が何かを待っているみたいに。
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彷徨いアリス