赤也のイタズラ 

銀色の尻尾が垂れた丸い背中を目で追いかけた。

仁王先輩ってなんであんな猫背なんだろ、モアレひっかかんじゃねーかな。
でも猫背のくせに身長高めだよな〜
柳生先輩みたいにぴーんって姿勢正せばもっと高いだろうに。

あ、背中に冷たいものあてたら背筋伸びるかな?

思い立ったらすぐ行動。俺は部室にある冷蔵庫の中から自分のお茶を取り出し、手を冷やし始めた。
仁王先輩が着替え始めたらこのつんめたい手で触ってやろーっと!

しばらくすると、柳生先輩と談笑しながらユニフォームを脱ぎ始めた仁王先輩。
俺は気付かれないようにソッとその背後に忍び寄っていった。


「隙ありッス!」


ユニフォームを完璧に脱いだ仁王先輩の背中へ思い切り手をついた。


ッダァーーーー!!!


仁王先輩の猪木っぽい叫び声が部室内に響き渡ると同時に、丸い背中がピーンと伸びきった。

作戦成功!まさかこんなすんげぇリアクションをするとは思ってなかったけど!芸人並みじゃん!
まっ、普段イタズラする側なんだから、たまにはコッチの気持ちも味わってもらわねーと!

仁王先輩の迫真のリアクションに爆笑していると、隣で着替えていた柳生先輩が淡々と口を開いた。


「おまん、何しとるんじゃ」

「へっ?」


何故か柳生先輩から仁王先輩の声が聞こえてきた。
一瞬何が何だか意味不明だったけど、俺はすぐに理解してしまった。
この人は柳生先輩に変装した仁王先輩だという事に

てことは、この仁王先輩…


「切原君、一体どういうおつもりでしょうか…!」

「ゲッ…!」


涙目の柳生先輩が肩を震わせながらものすごい鬼の形相で俺を睨みつけた。
ヤッベ!仁王先輩より目つき怖ぇこの人!!

俺は柳生先輩に小一時間説教されたのち、本物の仁王先輩に鼻で笑われてしまった。




「仁王、お前は赤也の意図に気付いて入れ替わっていたのか?」

「いんや、あれはたまたまぜよ」

「そうなのか?なら、運が良かったのだな。」

「今日は射手座が1位だったからかの〜」

「ほう、星座占いをみるのか。意外だな」

「? 皆見とるもんじゃろ?」

「……なるほど」


データ更新、仁王は星座占いをみんなが見ているものだと思っている。

赤也のイタズラ
end.

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わらびもち

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