意地悪なMくん

春のせいであの子がおかしい














『あ、マル。見てこれ』

「どれ」

『これ、コロッケパン。買えたの』

「へえ」

『あとほらメロンパンと、惣菜パンとね』

「お昼ごはん?」

『うん、そう。さっき購買行ったはいいんだけど、財布忘れてて絶望してたら、ちょうど通りがかった錦戸くんがお金貸してくれたの』

「ああ、だから亮とおるんや」

『うん。本当にありがとう錦戸くん、お金は明日必ず返します』

「あー、ハイ、どういたしまして」

『なんならいまマルが代わりに立て替えますが』

「え、いや別にいつでもええけど」

「なんでやねん。なんで俺が………、お前、」

『?なに、マル』

「太った?」

バサバサッ

「おい、戦利品のパン落としてるけど」

『…マルいまなんか言った?』

「お前太ったやろ」

『もう疑問形ですらない…。え、錦戸くん、私太った…?』

「えっ、いや、えーっと…」

『すごい、お手本のような目の泳ぎ方してる…そんな直視出来ないほどあからさまに肥えてますかわたしは…なんかごめん…人のお金でお昼いっぱい買ってごめんなさい…』

「あ、いやいや、全然、ゼンゼンそんなことないって」

『ぜんぜんって二回言った…。打ち消しと打ち消し、つまり強い肯定…?』

「えっ」

「お前どんな思考回路してんの」

『…元はと言えばマルのせいではないでしょうか…?』

「元を正せば肥えた自分のせいやろ」

『肥えたって!言った!えげつない!!言い方がえげつない…』

「パン食べへんの?」

『食べ……………、ない。マルにあげる…、わたしの奢りだ持ってけドロボー…』

「現時点では亮の奢りやけど」

「そうだね…、ごちそうさまです錦戸くん、このパンはマルのお腹におさまります…」

「えっ、ええの?それで」

『うん…ガマンする』

「別に食ったってその分動けばいいだけの話やんか」

『それは、マルが太らないからさらっと言えることだよ』

「あっそ。まあ散々言ったけど、別にお前太ってへんで」

『マル…!』

「丸いだけで」

『……』

「…マル、和伊流度さん息してへん」



Spring has come!
友情出演 亮
春に冷たいマルとか…!!!
(こんな朝ドラあったかな?)