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今思えばそれは運命だった。
運命、なんて大袈裟な表現かもしれないけれど、あの日大学の友人とあの角を曲がらなければ、この店には出会わなかったし、私は彼らに出会えなかったのだから。




「ねえ、焼きコ」
『んー?』
「バイト決まった?」


長いようで短かったつらい受験を乗り越え無事に大学に入学し、ひと月が経とうとしている。
入学式の時に隣の席に座っていたキリッと系美人の名はゆかちゃん。大学に入ってからの最初の友人である。


『まだ何も考えてないなぁ』
「そうでしょうね、なら時間あるわよね?」
『そうでしょうねって…あるけど何?』
「いや、この大学の周りちょっと歩いてみない?まだこの辺り把握できてなくて」
『あ、確かにね。通学路しか分からない』
「でしょ、ほら行くわよ」


ゆかちゃんはテキパキと行動派な女子である。そうと決まれば、私のカバンをぐいと引っ張り階段を降りて行く。
この辺りに何があるのか、まだまだ知らないのは確かなので私は彼女に付き合うことにしたのである。

女の子が2人寄れば話は尽きるものではない。キャッキャと色々な話題に花を咲かせながらも、ここにもコンビニあったんだね、郵便局こんな近いと便利だとか新しい情報を頭の中のメモに追加していく。

「焼きコは大学生になったらやってみたかったこととかないの?」
『んーバンジージャンプやってみたいなぁ』
「一瞬であの世に行きそうよ、あんた。想像しただけでも怖い」
『スカイダイビングとかね』
「見てるこっちが死にそうになるから。本当にやめて。公園のターザンを見守るので精一杯よ」
『公園のターザンで死んだら、私ひ弱すぎるでしょ』
「自分の見た目見てから言いなって」
『ゆかちゃんだってだってジェットコースターの落下速度には耐え切れそうにな…いや、逆にそのままなの?クールビューティを保つパターン?』
「ジェットコースターぐらいなら大丈夫。フリーフォールは怪しいけどね」
『フリーフォールは私もちょっと怪しい』



自分ではあまり自覚がないけれど、ゆかちゃんからしてみれば私は細く貧相な女子にみえるらしく(細くてか弱いの間違いじゃない?って何度も聞き返したけどゆかちゃんは「いいえ、貧相よ」と断言した)、私が抱いていた夢のチャレンジに厳しいご意見。うむむ。

ひとしきり探検隊の活動も終わり足もクタクタになった頃、女子たるもの甘いものが食べたくなるのは自然の道理なもので。

「なんかこの近くカフェとかないのかな」
『一軒ぐらいあっても良さそうだけどなあ…』
「…焼きコちょっと待って」
『ちょっと引っ張らな…お?』

一瞬意識していないと通り過ぎてしまいそうなそんな場所に趣あるカフェを見つけた私たちは、お互いの顔を見つめ合い、うなづくと入店を決めたのだった。

ひとやすみひとやすみ。

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