デンジに成り代わった女の子は真っ当になりたい
恋愛というものは、至極当然であるが大概面倒臭いものである。
振り向いて欲しいだとか振り向かせたいだとか、この人が運命であると信じたところでひと段落したら道が分かれるところとか。当たり前ではあるが、愛にはじまった物語が、幸福な愛で終わるとは限らない。運命の相手。恋は盲目。自己犠牲的な愛情。それは狂っているとも、哀れであるとも言える純真なひたむきさでその相手を包み込もうとする。けれど、そんな崇拝じみた愛情が報われることは少ない。御伽噺の人魚姫だって、身を焦がし全てを捨てた真心だらけの愛が報われることなく、そのまま水の中の泡沫となって、光に包まれて風の妖精になってしまう。
どれだけこれ以上誰かを愛したことなどないだろうと確信を抱いていても、繋ぎ合わせた糸がある日ぷつんと切れてしまって、あっさり別れることがあるなんてザラな話。受動的に待っていれば幸福がやってきて、天国にも登る気持ちでハッピーエンドがやってくるなんて、あり得ない話。
だからなんとなく、その話を聞いた時に頭にあったのは怒りよりも納得が強かった。
「ていうかお前まだあいつと付き合ってんの?誰が落とすかって話。結局罰ゲームでお前が告白してボロ勝ちだったんだから、早く別れちまえばいいのに」
なるほどなるほど。
つまり、ワタシは賭けの対象で、弄ばれていたようだ。
小さく息を吐く。ため息というより、いつのまにか出ていた空気のような存在に、そっと顔を上げた。
「やっぱり恋愛ってめんどくせぇな」
(デンジに成り代わった女の子は真っ当になりたい)
