小屋

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屋敷中の薔薇を青ペンキでぬりたくった幼少英智様のクソガキ感たいへん好ましいです(追憶エピ読みました)

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「ありがとうございました」
「…こっちのセリフ盗らないでくれる?つむぎくん」
「あはは、僕はお礼言われる立場じゃないですよ〜。咲さんの協力のお蔭で僕達Switchも最高のスタートが切れました♪」
「あれはほぼ渉のお蔭でしょ。…五奇人の末っ子と、他ならぬ嘗てのfineの顔である貴方がいるSwitch。その門出を祝って共演したことで零落した『皇帝』への評価も少しは変わる。ありがとう、としか言えないのが情けないけど」
「俺なんかにはその言葉だけで十分ですよ〜。実際、もう一度英智くんの友達の顔をしたかっただけなんです。あの日の後悔を引き摺った俺の未練ですから、俺の都合なんです」
「あぁ…渉の処刑の日のこと?」
「えぇ。…あの時は貴女も見ていたんでしょう?」
「そりゃ英智の悲願達成の舞台だもの、見てたわよ。…だから、申し訳ないけど貴方を哀れんだ。あぁ愚かだなって」
「それは当然ですよ、愚かでしたし実際」
「勘違いしないでね、馬鹿にしてるんじゃない。寧ろ最大限の敬意を込めた感想なの。その上であの時の貴方に掛ける言葉は、−『どうして英智が理解できるなんて勘違いしてしまったの?』ってとこかしら」
「…はい、今なら良く分かります」
「英智はね、生まれついての『皇帝』なの。夢ノ咲のじゃないわ、天祥院のよ。家族にも使用人にも大人にも子供にありとあらゆる人間が彼を『未来の皇帝』としてしか扱ってこなかった。…そんな人間が、普通の人間みたいに『友情』なんてものを理解できるはずない」
「見返りありきの『友情』しか触れてこなかった彼は、当然僕の『友情』もそうであると考えた。いかに彼が優れていても、知らないものは自分の知識の範疇に当てはめて解釈せざるを得ない。…今思えば当たり前の理屈なんですけどね〜、あの時は僕も若かったということでしょうか」
「哀れだと思う?」
「まさか。それは英智くんの人生全てに対する侮辱です、自分の物差しと違うからって憐れむほど傲慢ではないですよ」
「……つむぎくんってなーんか老成し過ぎてて面白くないのよねぇ」
「あはは…辛辣ですね。僕から見れば貴女の方がよほど大人びて見えますが」
「あら、女性にそんな口利くなんて覚悟はできてる訳?」
「ち、違いますよっ!?失礼な意味じゃないです!!…ただ、俺なんかよりずーっと昔から英智くんの傍で『友人』であり続けた貴女は、彼からそれを『有償の友情』だと言われ続けてきたはずです。それは、あの時僕が耐えられなかった言葉。でも貴女は平然と笑っているから、すごいなぁと思って」
「…つむぎくん。何を勘違いしているか知らないけど、当然私が英智に向けるのは『有償の友情』よ?」
「え、…えぇ!?」
「寧ろ『無償の友情』なんて存在するわけないでしょう」
「嘘でしょう、今までの流れでそう来ます!?」
「私、聖人でも聖女でもないもの。与えたら当然見返りを求めるわ、英智にもね」
「えぇえ…そりゃあ英智くんに借金肩代わりしてもらった俺にどうこう言う権利はないですけど…ちなみに何を貰ったんです?」
「それが未だに貰えてないの。酷い話だと思わない?見当違いなものばっかり押し付けてきて、全っ然欲しいものくれないから全部突っぱねてるんだけど」
「英智くんが…ですか?彼、お金にしろ人脈にしろ常軌を逸してますから何でもほいほいくれちゃうド*えもんみたいな人なのに…?」
「そう、私と敬斗には借金滞納常連よ。まぁ最近ようやく返済の意志が見え始めたから気長に待ってあげるけど」
「……?」
「分からない?私、英智から見返りの『友情』が欲しいの。『皇帝』には決して必要ない、ちゃちで脆くて曖昧な感情を、あえて彼自身の意志で持って私に与えて欲しい」
「………」
「与えたら同じだけ返して欲しい、当たり前の話でしょう?与え続けるだけじゃ尽きてしまうもの、『無償の』愛や友情なんて寝物語にもなりゃしない。そんなものを与えられる奴はそれこそ『化け物』、人間じゃないわ」
「…ふふ、やっぱり付き合いが長いからか、貴女は英智くんに似てますね♪」
「褒められてるのか貶されてるのか判断に迷うわねそれ…」
「そうですね、そういう意味では確かに僕が抱いているものも『有償の友情』です。語感は最悪ですが現実味があって、小綺麗な言葉で飾った『幻想』よりもずっと良い」
「…英智って現実の金払いの良さに反比例してそっちは滞納三昧、夜逃げ直前よ。私と敬斗への支払いもまだなんだから、当分つむぎくんの番は来ないけど?」
「あはは、流石に咲さん達を差し置いて要求は出来ませんよ…♪気長に待ちます、『皇帝』である彼が、等価での支払いを覚えてくれるまでね」
「…やーっぱりつまんないわつむぎくんって」
「酷いっ!咲さんまで夏目くんみたいなこと言わないで下さいよ〜!?」


全て承知の上でけろっとして『見返りのない友情』を鼻で笑うスタンスじゃないと英咲の関係成り立たないなぁって話。
にしても英智様の上流階級特有の悪意なく人を道具として使う感じとか、fine時代のつむぎくんのサイコパス感とか最高では??

2019/04/18

あんスタ