小屋

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猫と皇帝

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「おや、タマちゃん」
「あ。こんにちは皇帝さん」
「こんにちは。…嬉しいけど、普通に挨拶してくれるんだね?」
「そんなに礼儀知らずに見えました?」
「そういう訳じゃないけど、君には嫌われてると思ってるから」
「そうですか?嫌いだと思ったことはないですけど」
「へぇ…君の大切な月永くんを殺してしまったのに?」
「その被害者、今は元気に廊下に落書きして蓮巳さんに怒られてますよ」
「過去は気にしないって事?随分寛大だね」
「かんだい。なるほど見る目がない」
「違うのかい?」
「違いますね。私は感情だけで理不尽に相手を嫌うし嫌ったら徹底的に嫌な態度を取り続けるタイプの人間です、かんだいの真逆」
「説得力に欠けるなぁ…その理論だと僕は?」
「うーん…嫌いだなぁって思うのは貴方の過去の行為ひとつだけなので、行為の結果が無意味になった今となっては、ってことです」
「うーん…それは寛大と何か違うのかなぁ…」
「あぁ、前提が違うからですね。失礼しました。そもそも皇帝さんは私の中で好きな人分類なんです」
「……それは、意外だなぁ」
「というか御曹司というカテゴリが好きなんですかね、多分。司くんにしろ姫宮坊ちゃんにしろ」
「それは、権力が好きということ?」
「権力ではなく権力者です。仕立屋ですからねぇ、基本的に王者気質に弱いんです」
「あぁ、従者気質なんだ。うちの弓弦と気が合いそうだね」
「いや流石にそこまでは。下僕扱いはちょっと対応に困ります」
「でも仕えるのが好きなんだよね?」
「違います。好きな権力者に仕えつつ窘めつつ甘やかすのが好きなんです」
「…桃李に対する弓弦だよね?」
「ほんとだ」
「おバカさんなんだね君」
「……とりあえず、そういうことで皇帝さんは割と好きカテゴリに存在します」
「うん、なんとなく理解したよ。ということは…流石にデリカシーがないかと思って遠慮してたんだけど、遠慮なく構わせてもらっていいってことだね」
「遠慮なくとは」
「少しくらいこき使っても良いって事だよね?」
「あぁそういう。基本的にKnights最優先なのは絶対ですが、そこに障らない程度ならこき使ってくれていいですよ」
「いいんだ。本当に従者気質なんだね君」
「親切な良い子と言ってください」
「…ちょっと意地悪したつもりだったんだけどなぁ」
「じゃあ意地悪がヘタクソですね皇帝さん」
「あははっ、はじめて言われたよそんなの!…うん、嫌われていないならもっと仲良くしておくべきだね。タマちゃん、生徒会室でお茶でもどうだい?敬斗のしかめっ面をお茶請けに提供するよ」
「それはちょっと惹かれますけど、ちなみに美味しいお菓子は」
「お茶もお菓子もお代わり自由、なんならティータイム後の快適な昼寝場所としてソファもつけようか?」
「乗りました、お願いします」
「ふふっ、随分と警戒心の薄い猫ちゃんだねぇ…♪」
「世渡り上手なんですよ、仕立屋なので」
「うん、ちょっと本気で欲しくなってきちゃうな。優秀な子は好きだよ」
「レオさん泉さんと応相談でお願いします」
「うーん…それは手強そうだなぁ…」


英智様はタマを自分を怖がらないお気に入りの猫ちゃんくらいの扱いする。と思う。

2019/06/06

あんスタ