後輩が生意気



「真面目な話」
「何だ唐突に」
「茉莉さんって女優とかアイドル泣かせってレベルに美人じゃないっすか」
「ほんとに脈絡ねぇなお前」
「まぁ確かに希少な容姿だな、芸能界で普通に通用しそうだ」
「寧ろそこらの女優程度はかなわねぇなあれは」
「ちっさいし可愛いしスタイルいいし気取らないし」
「ゲー廃だけどな」
「そんなんもはや欠点にならない域っすよ!」
「…で、何が言いたいんだ高尾は」
「そんな完璧な彼女に対して、彼氏は暴言吐くわドルヲタだわ挙げ句みゆみゆは世界一可愛いとか目の前で言っちゃうわどうなのかと思いまして」
「あー確かにさっきのは無いわな」
「まぁ…いくら推しメンでも彼女より可愛いは不味いな」
「どん引きなのだよ」
「てめっ緑間ぁ!…しかたねぇだろ、ちょっと熱くなって」
「俺とっさに茉莉さん見ちゃいましたもん」
「聞こえてねーだろ」
「あの大きさで聞こえてないはないっしょー。聞こえなかった風装ってましたけど動き一瞬不自然でしたもん」
「っ…」
「普段理解有りすぎるくらいだからな、今回は流石に傷つけたんじゃないか」
「……」
「俺も推しメンに関して熱くなる気持ちは分かるけどなぁ、大事にしてやらないと駄目だぞ」
「っわかってるよ…」
「因みに」
「?」
「先程藤宮先輩に背中を貸して欲しいと言われました。心底宮地先輩の無配慮さに呆れます」
「っ早く言えそれを!!」
「あ、更に因みに茉莉さんもう帰りましたよー」
「はっ!?」
「明日休みだし乙女ゲー漬けして癒されてくるって。篭もるために携帯電源落とすから宜しくって言ってましたー」
「っざけんなくそゲー廃が…!」
「ついでに御家族は旅行中でお一人だそうなので押し掛けても無駄です」
「何でてめぇがんなこと知ってんだよ緑間ぁ!」
「いやー、俺ら茉莉さんとめっちゃ仲良いんで」
「っー!!」
「…大人しく今度まで我慢だな宮地」
「まぁ弁解の余地を与えられなくても仕方無いレベルだ、茉莉のことだから今度会うときには吹っ切れてるだろうし待っとけ」
「ちょっと引きこもるだけであれを許してくれるんだからほんっと茉莉さん良い女っすよねー」
「大人しくみゆみゆでも見てたらどうですか」
「黙ってろ緑間。…っくそ」



「おはよーございまーす」
「っ、」
「…何ですか宮地先輩、その顰めっ面」
「お前、その、…この間」
「はい?」
「だからっ、わ…るかったな」
「え?あぁみゆみゆは世界一って奴ですか?いいですよ今更そんな小さいこと」
「小さいことってお前…」
「あ、緑間君高尾君おっはよー」
「おはようございます」
「はざーっす茉莉さん。ゲーム漬けの休日どうでした?」
「全クリした後お気に入りの子ルート三周した。いやー名作だわやっぱ、キャストさんも豪華だし」
「癒されました?」
「? うん」
「それは何よりっす!ね、宮地さん!」
「……?」
「っ…(高尾後で轢くっ…!)」



20130906


二次元の男に慰められてけろっとしてる方が傷付いて泣かれるより辛いという話。
後輩二人は勿論宮地さん大好きなんだけどこの点においてのみ反抗的だと良いなと思う。