好きなとこ


「ちょっとだけ真面目に」
「?」
「茉莉さんって宮地さんのどこが好きなんすか?」
「え、顔」
「… 潔いすね!」
「でしょ?」
「まぁあの人も同じ質問に同じ答えでしたからねー。でも宮地さんが言うと最低なのに茉莉さんが言うと潔く聞こえる不思議」
「まぁお互い取り立てて胸を張れる長所がないっていうね。不良物件同士なんで」
「茉莉さんは顔も中身も良い女っすよ?」
「よし高尾君付き合おうか」
「惜しい!宮地さんさえいなきゃ喜んで!」
「はは、残念」
「茉莉さんはああいう顔が好きなんすねー、確かにイケメンっすもんね宮地さん」
「まぁ単純に顔の造りとしては実は緑間君の方が好きなんだけどね」
「…おぉっと不穏な空気になってきたぞ」
「だっていっつも眉間に皺寄せて舌打ちするか笑顔に見せかけたキレ顔だよあの人。惚れようがなくないかい」
「でも顔が好きなんすよね…?」
「普通にしてるときの顔ね。ほぼ無いけど」
「いや流石にそんなことは…宮地さんだって人の子っすよ?結構笑ったりしてるし」
「そうなんだけどね、私に対しては基本装備眉間に皺だから」
「……そういやあの人茉莉さんの前だと若干人相悪くなりますね」
「でしょ?」
「ほら、気緩むとデレデレになるから不機嫌装ってるとか?」
「あの人出会い頭から今まであんな感じだよ。私といると腹立ってしょうがないって言ってたし」
「……いや、それは、えーっとぉ…?」
「大丈夫大丈夫全然気にしてないから」
「茉莉さんどんだけ懐深いの。…普通にそれはアウトじゃないすか、いくら宮地さんがツンデレでも」
「んーまぁ流石に初めて聞いたときはじゃあ何でこの人私と一緒にいるんだろうとは思ったんだけど。先輩の取扱いのプロこと木村先輩からのありがたいお言葉が御座いまして」
「木村さんが?」
「曰わく、「あいつガキだからときめきとか照れも一緒くたにして全部腹立つでまとめんだよ」」
「…………」
「そう考えると何となく愛せるよね」
「……何だろう、普段なら手叩いて腹抱えて笑い転げるとこなんすけど」
「うん?」
「何か厳しい上司の知ってはいけない一面知ってどんな顔すればいいのか分からない新入社員の気分?」
「笑えばいいと思うよー」
「まぁ、うん、そのフィルター通せば、あの人茉莉さんが可愛くて可愛くてしょうがないってことですよね」
「さー。まぁ腹立つってのが額面通りの意味ではないってことは確かなんだろうね」
「…なーんか此処にいないのに宮地さんに惚気られた気分」
「はは、このねたでからかうのは薦めないよー。本気で轢かれかねないかんね」
「いくら俺でも持て余す特ダネだったんでそっと胸の内にしまっておきます!あ、あと」
「ん?」
「顔の話とはいえ緑間のが好みってのは言わないで下さいね、真ちゃん八つ当たりされるんで」
「ふふー分かってるよ。存外子供だからねあの人」
「茉莉さんに関しては緑間より理不尽すからねあの人」


20140911


お互い相手の好きなところは顔と断言する仲。酷い。
容姿の好みなら真ちゃんだと思うよ。黄瀬とか宮地さん系統はイケメンだけど真ちゃん系のが好き。