お出かけ


「やぁ、おはようお寝坊さん」
「……………………」
「はは、寝起きは人相の悪さ三割り増しは遺伝なのかな。お兄さんそっくりの凶悪面だねぇ」
「……朝っぱらから他人ん家で何してんだよ」
「紅茶を戴いてる」
「見りゃわかるわボケ」
「君らのお母様は紅茶の淹れ方すらも絶品だよねぇ。あとお母様が私の好きな銘柄をご存知な事に驚きを隠せなかったんだけど」
「…兄貴から聞き出したんだろ。異常に気に入ってっからなお前の事」
「いやまぁ有難い限りなんだけど…若干恐縮っていうか」
「いいんじゃねぇの、嫁姑戦争とは無縁そうで」
「はは。因みにゴミ出しに出られてからかれこれ十分ほど帰ってらっしゃらないよ」
「どうせ井戸端会議だろほっとけ。…で、結局お前は何でリビングで寛いでんだよ。兄貴と出掛けんじゃねぇの?」
「いやぁ、そりゃ私も意を決して滅多にしない休日外出に踏み切ったんだから時間は有効に使いたいんだけれど。肝心の君のお兄さんが中々部屋から出てこなくてねぇ」
「…あー」
「何に時間かかってるのか知らないけど、時々唸り声聞こえるからそっとして気長に待とうかと」
「…服で迷ってんじゃね」
「女子か」
「じゃあ小物」
「だから女子かって」
「うるせぇな確かめてこいよめんどくせぇ」
「あのみゆみゆ教の礼拝堂みたいな部屋は御遠慮したい」
「似たようなもんだろドルヲタもゲー廃も。邪魔だからさっさと出てけよ俺が寛げねぇだろうが」
「つれないなぁ、お兄ちゃんが出てくるまで話し相手してよ義理弟」
「お前みたいなアホが義理でも姉になるなんて将来嘆きたくなる」
「はは、それはお兄ちゃんに抗議すれば未然に防げるかもよ」
「その発言した時点で母さんに殺されるわ」
「いやぁ、愛されてるなぁ」
「調子乗んなチビ」
「義姉さんと呼んでくれて構わないよ」
「あぁ間違った、クソチビだったな」
「こんにゃろめ」
「マジで鬱陶しいからさっさと出掛けろ」
「じゃあお兄ちゃん呼んできてよ」
「…ドアの前でテンション低めに「気に入りませんでしたか」って言ってこい。それで一発だ」
「? 何の話だい?」
「どーせお前に貰ったマフラーつけるかどうかっていうクソつまんねぇことで悩んでんだよあのアホ兄貴」
「……おやおや」
「お前ら共々揃って鬱陶しいからさっさと出掛けてこいクソが」
「それは俗にいうリア充爆発しろかな?」
「ドルヲタとゲー廃がリア充なわけねぇだろ消えろ」
「はいはいっと。ありがとねー、お土産にドーナッツ買って帰るよう言っとくよ」
「ハニーチュロ」
「はいよ了解、いってきまーす」
「おー、轢かれんなよクソチビ」


20141113


誕生日に直近の休日に年に一回の外出デートをする暗黙の約束だと可愛い。
宮地兄誕なのに弟しか出てこない。ホントごめん宮地さん。