祝福と悪戯


「そこの少年達ー、左に寄って止まりなさーい」
「ぶふぉっww茉莉さん何の遊びっすかww俺きっぷ切られるの?スピード違反?」
「こんにちは藤宮先輩」
「やあ緑間君今日もイカしたラッキーアイテムだね、それは埴輪かい?」
「埴輪型のぬいぐるみなのだよ」
「よくそんな巨大なものを見つけて来るねぇ、流石人事を尽くす男。御立派御立派」
「ふん、当然なのだよ」
「ねー茉莉さん、楽しそうで何よりっすけど雑談しながら俺の学ラン捲るの何で?」
「ははは両手を頭の上に載せて壁に向かいなさい、抵抗すると撃ちますよー」
「何なんすか警察ごっこが流行り?」
「……!」
「よし。はいご苦労様、もういいよ」
「?? え、マジでなんなんすか?」
「…高尾」
「んあ、何真ちゃん」
「先に行っていろ、急におしるこが飲みたくなった」
「は?ったくしゃあねぇな、なら一緒行くからさっさと」
「いいから行っていろ。次は古文だろ、お前は今日当たる日なのだよ」
「っげ…!?わっすれてた、やべぇ予習してねぇ」
「ふん、そんなことだろうと思っていたのだよ馬鹿め」
「っすんません茉莉さん、俺行きますね。遅れねぇように来いよ緑間ぁ!」
「喧しい」
「いってらー頑張れー」
「………」
「………」
「…どうやって手に入れたんですか」
「ん?」
「さっき奴の背中に差したのは、高尾がどうやっても手に入らないと喚いていたカードなのだよ」
「はは、オンラインのゲーム仲間からねー。私カードには詳しくないけどそんなレアなんだ」
「…オークションで云万の代物だと聞いたが」
「6Vの色違いメタモンとはいえそんなしないわなー?かなり良心的な取引だったかなーお礼言っとかなきゃ」
「………」
「そんな目で見ないでよ、高尾君が喜ぶものが分かんなかったんだもん」
「…何で面と向かって渡さないんですか」
「いやいくらレアとはいえトレカがプレゼントってしょぼいじゃん。気付けばいいな程度の悪戯くらいのつもりで考えてるから」
「万が一気付く前に落としたなどとなればどん底まで落ち込むのだよ」
「いやー大丈夫でしょしっかり挟んだし。まぁ落ちたらいつも隣に居る緑間君、フォロー宜しくね」
「………」
「順当にいけば部活前には気付くかねぇ」
「藤宮先輩は後輩に甘すぎるのだよ」
「ははは、君が言うのかい。そりゃ甘やかしもしますさ、可愛い後輩の誕生日ともなれば」
「ふん…」
「君もちゃんとおめでとう言いなさいね?きっとどのプレゼントより喜ぶからさ」
「…考えてやってもいいのだよ」


20131121


たかおめでとう!