でも脱げとは言わない



「………」
「おや、来てたのかい。どしたのそんなとこで突っ立って」
「…いや茉莉さんすげぇわ拷問のプロだわ」
「………」
「拷問て君。ちょっと拝借しただけだよ」
「超ぶっかぶかっすね、最早ワンピース。40cm差すげぇわ」
「…腕が出ていないのだよ」
「寒さには代えられないからねー、上着忘れたのは痛かった」
「もう宮地さん見たんすかこれ?」
「うんにゃ、ロッカーにあったの無断拝借。キレるだろうけど」
「キレるっつーかそりゃ動揺するっしょ…部活来たら彼女が彼ジャーしてるとか」
「言うほどそんな大事かい?男子の服着るのって」
「どうですか緑間さん」
「何故俺に振る」
「いや真ちゃんが肯定したら説得力あっかなーと思って」
「……大体何故宮地さんのなのだよ、サイズならまだ高尾の方が近いでしょう」
「あっ、逃げやがったな緑間」
「いやだってあの人他人の借りてもキレるじゃん。機嫌も悪くなるし。同じキレるなら本人の借りた方が他人様には迷惑掛けないかなと」
「まー俺も正直八つ当たられるのは勘弁っすわー」
「動き辛そうなのだよ」
「折っても折ってもずり落ちてくるんだよねぇ」
「それが可愛いっすけどね!男的には!!」
「黙れ下衆が」
「真ちゃんひっでぇwww」
「…これを貸してやるから留めておくのだよ」
「お、何々。クリップ?もしや今日のお供かい?」
「バインダークリップなのだよ」
「でも君のが無くなるんじゃないかい」
「大丈夫大丈夫、聞いて茉莉さんwwコイツ業務用の箱で超大量に持ってきてんすよwwwやべぇのwwww」
「…貴様の鬱陶しい髪も留めてやろう高尾」
「え、いや遠慮すって何々やめて痛だだだっ!!」
「もっと視界を広げてやるのだよ」
「ぎゃーっ!!髪絡まる!!いだだだ!!」
「…いやぁ、仲良しで本当羨ましいわー」


20140109


二分後くらいに部室入って扉開けたまま固まってキレる(照れる)宮地さん。