よりにもよって


「あっ、ミスった」
「…おい」
「待って下さい今忙しいんで」
「どこがだよ堂々と学校でゲームしてんじゃねえぞコラ」
「部活終わったし問題ないと思いますけど」
「ざけんなさっさと帰れ何時まで更衣室いる気だ轢くぞ」
「放って置いて下さって結構ですよー、先輩はお帰りになってアイドルのDVDでも見て下さいよ」
「てめぇが帰らねえと帰れねえんだよ鍵当番だから」
「鍵はマネージャーと部員一個ずつあるんですから私が閉めますって。…あ、よし修正出来た」
「そういう問題じゃねえんだよゲームから目離せこっち見ろ」
「無理です今この子落とすのに必死なんで」
「ギャルゲかよ…お前本当ゲームなら見境ねえな」
「いや乙女ゲーです。昨日新作出て」
「…は?」
「うわ、今ここ最近で一番低い声出ましたね」
「……」
「ちょっと、無言で電源切ろうとするの止めて下さい」
「…っち」
「ガチな舌打ちも止めて下さい凄い極悪面ですよ」
「…帰んぞ」
「この子終わるまでいるんで先輩どうぞお帰り下さ… あ、フラグ立った。よし恋人エンド確定」
「…っち、そうかよ。じゃあきちんと鍵閉めろよ。帰りに変態に襲われても俺は知らねぇ」
「あーそういえば最近ここら辺いるらしいですね」
「は?」
「変質者。背後から抱き付いて胸揉んだだけで消えるらしいんで大した変質者でもないですけど」
「ソースは」
「先生です。明日の朝礼で全校に注意促すけど、バスケ部は帰り遅いからって一足先に私に教えてくれたらしく」
「………」
「まぁ変質者なんてそうそう会うもんでもないですし特に気にしませんけどねー。鍵は閉めとくんでご心配なく、お疲れさまです」
「……」
「…お疲れさまでした?」
「……」
「…帰らないんですか」
「るせぇ。さっさとその不細工落とせ」
「この美麗イラストのどこが不細工ですか」
「俺より不細工」
「そりゃ先輩は顔良いですが。というか帰らないんですか」
「いーからさっさと攻略でも何でもして終わらせろ轢くぞ」
「……先輩って、」
「あ?」
「攻略対象に一人はいる心底面倒くさいタイプの俺様キャラですよねぇ」
「黙れ刺すぞゲーム廃人」
「でも乙女ゲーにドルヲタはいないか」
「今すぐ電源ぶっちぎって引き摺って帰ってやろうか?ん?」
「すみませんでしたあと十分待って下さいお願いします」
「っち…」
「…先輩」
「今度は何だ」
「ありがとうございます、嬉しいです」
「…早くしろ馬ー鹿」

20130419