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真夜中。父の鴉天狗へ夜のパトロールについての報告を終えた黒羽丸は寝る支度をしていた。
「………」
畳の上に綺麗に布団を敷き終え、電気を消した刹那。障子の外に1つの気配を感じる。
「なまえか?」
しかし彼は微塵も警戒心を持たず外の存在へ向かって声をかけた。
「……………」
静かな音をたてゆっくりと障子が開いた。其処にいたのは幼い女児。彼女は部屋に入ろうとはしなかった。襖にかけた小さな手が細かく震えている。
「また、見たのか?」
こくり、と頷いた彼女。黒羽丸が発したおいで、の言葉に従って足を動かす。そして勢いよく彼の腰に抱き着いた。
「みた、」
「…………」
「こわいよ、」
「もう大丈夫だ、」
とん、とんと一定のリズムで背中を優しく叩いてやる。ぎゅっと自分の着物にしがみついている彼女はまだ小さく震えていた。
「なまえ」
「………?」
優しく彼女を抱き上げ柔らかな布団に降ろした。自分も寄り添うようにして隣に寝転がる。
「おやすみ」
「……うん、」
そして今だ震えている彼女を抱き締めるようにして眠りについた。
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