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パトロールのため黒羽丸は夜空を飛んでいた。本日も違反者をちゃくちゃくと見つけ、注意する。満月が綺麗な夜だ。

「なまえと出会ったのもこんな夜だったな…」

眩しいくらいに光る満月を見詰めながら、黒羽丸はその時のことを思い出した。



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浮世絵町は今日も違反だらけだ。そう思いながら黒羽丸は飛んでいた。静かな夜空に響くのは彼愛用の笛の音。

「そこ!路上でイチャイチャしない!」

「ひいっ、すんませ−ん」

「そこ、スピード違反だ!」

「ごめんなさ−い!」

他にも違反者がいないか暗闇で目を凝らす。するとある一ヶ所に妖怪が集まっているのが見えた。一ヶ所に妖怪が溜まれば沢山の妖気が集まってしまう。他の妖怪を呼び寄せかねない。危険である。注意せねば、と黒羽丸は地上に向かって下降し始めた。

「そこ。むやみやたらに集まるな!」

地上に降りた黒羽丸が集団に近付くとその集団は何かを守るようにして囲んでいるのが分かった。不思議に思ったが真面目な彼はまず当初の目的を実行する。

「お前さん、本家か?」

集団の真ん中にいた、つまり囲まれていたおそらく最年長であろう妖怪が探るような目線で黒羽丸を見詰めた。彼の腕には何かがいる。

「いかにも。鴉天狗の長男、黒羽丸という」

「そうか…」

なら安心だな。と周りにいる輩に彼は同意を求める。周りからの同意を得たところで彼は再び黒羽丸に向き直った。

「お前さんに折り入ってお願いしたいことがあるんだ」

「?」

「こいつ、」

そう言って彼は胸に抱えていた何か…小さな女の子を黒羽丸に見せる。

「ついさっきこいつらとここで見つけた。酷い怪我をしているんだ。本家で手当てをしてやってくれないか」

女の子がよく見えるように覗き込んだ黒羽丸はその状態に絶句した。確かに酷い怪我だ。しかし彼女は――生きている。

「頼む、救ってやって欲しい」

この通り、と掌を合わす妖怪から小さな女の子を受けとる。急いで鴆様の所へ向かわなくては。

「私が責任を持って彼女を預かる。必ず助けてみせよう」

「あっ、ありがとうこぜ−ます!」

感謝の言葉を述べる妖怪達を背に、黒羽丸は羽根を広げる。そして女の子――なまえを抱え直し、夜空へと再び飛び立った。

過去編です



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