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「けがしてる…」

なまえはそっとしゃがみ込んだ。彼女の視線の先には1匹の烏がいる。地面に力なく横たわる烏は羽を怪我してしまったようで、もがくように羽をバタつかせては力尽きる、というサイクルを先程から繰り返していた。

「だいじょうぶ?」

なまえがそっと手を伸ばすと、力など殆ど残っていないはずなのに警戒しているのか烏は酷く鳴いた。その様子になまえは一度手を引っ込めたが、烏が落ち着いたところで再び手を伸ばす。案の定、烏は酷く鳴き辺りには漆黒の羽根が散らばった。

「だいじょうぶだよ、痛いことしないよ。ケガをなおしてあげる」

漆黒の瞳をじっと見つめる。兄貴分とは違い烏天狗ではないなまえには残念な事に烏の気持ちを読み取ることは出来なかったが、彼女の意思が伝わったのか烏は鳴く事を止めた。

「くろうまるのとこ行こ。けが治してくれるよ」

彼女が腕を広げると、答えるように烏は自分の頭をその小さな手のひらに擦り寄せる。その身体をそっと抱き上げた彼女は、自分の兄貴分の元へと急いだのだった。







「くろうまるくろうまる!!」

「なまえ、どこに行ってたんだ!心配したぞ」

「この子けがしてるの!手当てしてあげて!」

そう言ったなまえの腕の中には、羽根を怪我している烏が蹲(うずくま)っていた。

「なまえ、若菜様から救急箱を貰ってきてくれ」

「はーい!」

*
*
*

「だいじょうぶ?」

「ああ、このくらいの怪我なら2、3日もすれば飛べるようになるだろう」

「よかったね!!」

「お前にありがとうって言ってるぞ」

「ほんと!?どういたしましてっ!!」

なまえのその声にカァと鳴いた烏は、彼女に擦り寄った。
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