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閑話
「え−ではそういうわけでリクオ様の小学校のお供を誰にするか決めたいと思います」
鴉天狗がそう言い放った瞬間多数の妖怪による護衛争奪戦が始まった。つい最近、3代目の座を狙ったガゴゼがリクオを抹殺しようと目論んだのが事の始まりである。リクオはその事を全く覚えていないようだった。がしかし、リクオの中の妖怪の血が覚醒したことは紛れもない事実である。ガゴゼのように3代目を狙う他の輩に命を狙われない確証はない。故に、護衛をつけようというのだ。
まず手始めに毛倡妓が人間に変身した。女医に扮した彼女は保健室に潜入する魂胆である。昔、吉原にいたことが吉となったのかは分からないが…以外にも彼女の変装は完璧であった。これで女の護衛は決まりだ。そう思われたのだが、次に着替え終わった雪女が出てきた瞬間妖怪達の態度は変わってしまう。
「か、かわいい…」
そう、雪女はとても可愛らしかったのである。ランドセルというアイテム、加えて毛倡妓よりも幼く見える彼女の顔立ちが、より彼女を小学生らしく見立てていた。先程まで毛倡妓で決まりだと騒ぎ立てていた妖怪達は、一気に雪女へとその票を変える。そんなロリコン妖怪達をすまきにしようと毛倡妓が騒ぎだしたその時。堅く閉ざされていた襖が突然開かれた。
「ん〜このお部屋、うるさいよ…」
入ってきた赤髪の人物は、今起きたばかりなのかごしごしと瞼を擦っている。ふあ、と欠伸を噛み殺した。
「…………」
突然現れた人物…なまえに、驚きのあまり未だ固まっている妖怪達。しかし毛倡妓だけは違った。光の早さでなまえの腕を掴み、セットの中へと連れ込む。そうだ、この子がいたじゃないか。リクオ様と同い年、そして人間であるリクオ様と兄弟のように育ったためその振る舞いは8歳の妖怪にしてはどこか幼い。しかし以外にも、強さは申し分ないのである。これも武道派である兄貴のお陰か。兎に角、毛倡妓はなまえを人間の小学生らしく変身させることに成功したのだ。
「「満点で…」」
妖怪達はそう口を揃えた。鴉天狗までも顎に手(羽根)をやり頷いている。それほどまでになまえの変装は完璧だった。それこそ、非の打ち所がない。
「なまえ、お前その赤髪をどうにかすりゃ完全に人間ですぜ」
「納豆のばかぁ−っ!なまえの髪の毛バカにしないでっ!!」
「いやそういうわけじゃなくてね…」
ぎゃあぎゃあと言い争うなまえと納豆を無視して毛倡妓はなまえに赤いランドセルを背負わせる。そして彼女の長い髪の毛を1つに纏め、上でお団子を作ってやった。なまえの全てをいじり終わった毛倡妓はなまえに声をかける。
「なまえ、お前さん、ちょいと人間に変化してみな」
「にんげんに−?」
「お前さんなら出来るわよねぇ?」
ふふん、という効果音が出そうな程満面の笑みを浮かべたなまえは、「変化の術だコレ!」というなんとも奇妙な掛け声と共に人間に変化してみせたのである。
「人間だ…」
「やっぱこいつ人間にしか見えねぇ…」
「決まりだな…」
変化したなまえは先程納豆に言われた赤い髪の毛の色を碧っぽい黒に変えただけだった。しかし背丈、顔立ち、それから言動…何から何まで彼女は小学生らしかったのである。満場一致で彼女の潜入は決まったのだった。しかしその後、自分も若を守りたい、女が2人いても何も問題無いじゃないですか!と言い張る雪女の意見を鴉天狗が取り入れたため、護衛はなまえ、雪女、青田坊の3人でやることになる。
「黒羽丸!見て見て!なまえ、“しょうがっこう”ってとこに行くんだって−!」
「親父から聞いたが…なまえ、これは立派な任務なんだ。へまをやらかじゃダメなんだぞ?」
「なまえ、へまなんてしないも−ん!ねぇねぇ、似合う?似合う−?」
「お姫様は新しい玩具にぞっこんだな…」
「トサカ丸…なまえがちゃんとリクオ様を守れると思うか…?」
「とかなんとか言って、心配だからなまえを目の届くとこに置いておきたいんだろ?」
「………」
「図星かよ!ったく、兄貴はどんだけなまえに過保護なんだ…」
「…なっ!だいたいなぁ、トサカ丸。なまえは…」
「あぁ〜はいはい、」
過保護な兄貴(主に黒羽丸)
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