朝寝坊



珍しく彼より私の方が早く起きた。隣を見ると彼、黒羽丸は寝息を立てて眠っている。いつもの真面目な表情と違いその顔はなんだかあどけなくて、くすりと笑みがこぼれる。

「ん…」

顔にかかった少し長い前髪を払ってやると、黒羽丸は小さく身じろいだ。なまえがその様子をじっと見つめていると、やがて瞼が震えその目は開かれる。

「ごめん、起こした?」

「いや…」

彼はまだ眠たいようで、その口からは小さなあくびがこぼれる。「眠いの?」となまえが問うと、返事の代わりに一際大きなあくびが彼の口からこぼれた。

「最近、忙しかったもんね…」

ここ最近、奴良組ではリクオが正式に三代目を襲名する事となり、いつになく慌ただしかった。本家の諜報員としてだけでなく伝令係としても働いている黒羽丸達三羽鴉は、休む暇なく奴良組の広いシマ内を飛び回っていたのだ。

「おかげでお前にもしばらく触れていないな…」

「なっ…!そっ、そういうこと、言わなくていいから!」

恥ずかしさからか顔をほんのり紅く染めるなまえに気をよくした黒羽丸は、その顔を見られまいと隠すように置かれた手を退かすように彼女の手首を掴んだ。そして文句の一つでも言ってやろうと再び開いた彼女の口を塞ぐように、自分のそれを重ねる。

「んっ…!」

しばらくなまえの甘い口内を堪能していると彼女はどうやら息が苦しくなってきたようで、必死に俺の肩口を押して抵抗してくる。最後にとなまえの上顎を舌で撫で上げてから唇を離すと、ビクリとその身体が震えた。

「はっ、はっ…」

未だ息が整わないなまえの身体に覆い被さる。そのまま襦袢の合わせ目に手をかけると、いよいよ彼女は俺がこれから何をしようとしているか分かったようで着崩れ無いように必死に合わせ目を手で押さえた。

「ね、眠いんじゃなかったの!?」

「さっきのお前の反応でとっくに目が覚めた」

布越しになまえの外腿を撫でると、再び彼女の身体が小さく震えた。それと同時に合わせ目を押さえていた手の力も弱まる。ふと、なまえを見ると彼女は濡れた瞳をしていて、その瞳は黒羽丸を煽るのには十分だった。

「ん……あっ…!」

柔らかくて白い首筋に唇を這わす。いい匂いがするそこをぺろりと舐めてやると、彼女は「ひっ…!」と小さく悲鳴を漏らし身を捩った。

「なぁ、なまえ…」

「ん、そこでっ、しゃべ、ひうっ、らないでっ…!」

ちゅっと音を立てて唇を離す。彼女の白い肌にその紅は一際目立っていて、身体の奥がドクリとざわめいたのが分かった。もう、我慢の限界である。


「このまま俺と朝寝坊しないか?」



涙目のなまえに行為の最終確認の意味でこう問うと、紅い顔をさらに紅く染めながらも彼女はゆっくりと頷いた。たまにはこんな朝も悪くない…そう思いながら、黒羽丸はなまえの身体に再びその唇を落としたのだった。

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