呼ばれて連れ出されて、混乱した。あとで蝦名さんがめんどくさいなとか、なんで月島くんはまだ私のことを名前で呼ぶのかとか、サボると怒られないかなとか。でもめんどくさいのはいつもだし、まだ名前でよんでくれるんだとか、怒られたっていいやとも思った。
『梨都が思ってる以上に、僕は梨都のことが好きだよ』
好きだと言われて、苦しくなった。私も月島くんのこと好きだから、苦しくてしかたがない。
だけど私は逃げた。そんな私がその手を取っていいなんて思えない。
『あなたはつりあわない』
その言葉がひどく刺さって、同時に納得してしまった。なにもない私と、様々なものを持ってる月島くん。進む君と止まってる私。縮まらないこの隙間は何で埋めたらいいんだろう。
「泣かないで」
泣きたいわけじゃない。困らせたいわけでもない。
「今泣いてるのはどうして?」
言えないよ。言ってもどうにもならないことだってわかってる。それなのに、月島くんは私が話すのを待ってる。
「なんで、そんなに優しいの?」
「さっきも言ったけど、梨都だけだよ」
そんなこと言わないでよ。スキをやめなきゃいけないのに、そんなこと言われたら止められなくなる。
「いつも部活ばっかりでごめん。僕のこと、嫌いになった?」
そんなことない。私、バレーしてる蛍くんが好きだから、部活優先でも全然大丈夫。
「まだちゃんとデートもしてないよね。どっか行きたいところある?」
そんなの少しも気にしてないよ。
嘘。少しだけ気にしてた。
「梨都が良いって言ってくれるなら、一緒に帰ったりもしたい」
お休みの日にでかけたいとか、そんなことは思わないけど、下校くらい、1回くらいしたいなって思ったことはある。それでもね、言えなかったよ。蛍くんが部活で忙しいの、わかってたから。
「ねぇ、ちゃんと教えて」
こんなに言われてもまだ素直に言葉に出来ない私は、きっと天性の弱虫だ。
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