ちょっと詳しく聞かせて!
「うっそ!ホントに?!」
「うるさ…」
蛍が烏野に入ったことはお母さんから聞いてた。その時も、蛍にはすごくめんどくさそうにされたのを覚えてる。
「うるさいとはなによ!お姉ちゃん聞いてなかったんだけど!」
「言わなくても流れでわかるデショ」
「やだ!蛍から聞きたい!」
蛍から聞く方が嬉しいの!
「…姉ちゃん今年大学生になったんだよね?」
「うん」
「はぁ」
ため息つかれた!それでも我が弟はかっこいい!
身内贔屓が過ぎるって?いやいや、そんなんじゃないから。ご近所からも「弟くんはイケメンねぇ」って言われるんだから!ちなみにお兄ちゃんは「爽やかで格好いいわねぇ」って言われてる!
私の自慢の兄弟なんだから当然だけど!
「そんなんで大丈夫なの?」
「なにが?」
「学校で」
「オールクリア、もーまんたーい」
「姉ちゃんのそのステルス機能なんなの…」
蛍が言う「ステルス機能」って言うのは、どんなに外で騒いでも何故か周りが気にしないってやつ。
別に外だからって蛍の話をしない訳じゃないし、お兄ちゃんの話をしないわけじゃない。電話が来れば彼女張りにテンション上がってる自覚あるし、メールが来ようものなら保護必須。特に蛍はほとんど連絡くれないから。
ましてや入学してすぐなんて家族の話題が1番最初に出てくるから、私は全力で兄弟自慢をしてる。
「普通にしてるんだけどね」
「姉ちゃんの普通は普通じゃないから」
「家と外で変えてないってこと!」
私が世間一般的な普通から外れてることはわかってるよ!
話す人みんなに「灯佳里はブラコンだね」って笑われるもん。これで自覚なかったらそれこそヤバいやつだよ。
「ねぇねぇ、そんなことよりさ!試合出るの?!」
「まだ入部もしてないんだからわかんないよ」
「そうだけど、もし出るなら教えてね!お姉ちゃん応援するから!」
「いらないし絶対に来ないで」
「えー!」
拒否られるのわかってたけど!
「いつまでも騒いでないでご飯の準備手伝って!」
「はーい!」
お母さんはお兄ちゃんがバレーにハマってから、ずっと栄養を考えてご飯を作ってくれてる。作ってくれるだけでも有り難いのに、スポーツマンの体調管理までするとかマネージャーみたいだなーってずっと思ってた。
「はい、じゃあいただきます」
「いただきまーす」
「いただきます」
お兄ちゃんとも蛍とも学年がぎりぎり被らないから、一緒に部活って出来なかった。だからもしも私が他所の家の子で、お兄ちゃんか蛍の同級生だったら、一緒にマネージャーやってたのかなーって考えなかったわけじゃない。
もしそうだったらきっと楽しい。でも私は2人が好きだから、どっちかとだけ一緒じゃ我慢できない。やっぱり私はお兄ちゃんの妹で、蛍のお姉ちゃんでよかったって思う。
「うふふ」
「なに、気持ち悪い」
蛍がお兄ちゃんの後を追いかけてるってわかってテンションがおかしい自覚はある。
だからかな、いつもならショックだけど今ならなにを言われても全然平気なんだよ!
「バレー好き?」
「別に、普通」
「やめないの?」
「やめるほど嫌いな訳じゃないし」
「じゃあ、高校卒業しても続ける?」
「そんな先のことわかるわけないデショ。なんなの?今日うるさい。しつこい」
相変わらずつれない!
「ごめんね?」
「…本当に大丈夫?熱でもあるの?」
「ないよー」
蛍が心配してくれた!
このツンデレ加減が本当たまんない。かわいくて仕方ない。彼女連れてきたら是非一緒に蛍談義したい。早く連れてきてくれないかな。
「あなた達いつまでも話してないで早く食べなさいな」
「姉ちゃんのせいだ」
「それでいいから食べよー」
あ、そう言えば忠くんは一緒なのかな?一緒ならまたお話ししたい。
「忠くんは?一緒?」
「そうだけど」
「クラスは?別れちゃった…?」
「一緒。ちなみにバレー部入るって」
「さすが!また忠くん連れてきてよ」
「やだ」
忠くんは私と一緒で蛍のこと好きだから、話が合うの。学校でのこととか教えてくれるからすっごく助かる!素直でかわいい、私の2人目の弟。
「あ、蛍彼女は?」
「いないしいらないしいても教えない」
「やだー!知りたーい!」
いるとしたらどんな子かな?かわいい系?美人系?どっちにしても蛍がかっこいいから並んだら似合うんだろうな。でも蛍は顔で選ぶタイプじゃないからきっといい子。
あとそろそろ忠くんにも彼女ができていいんじゃないかな?忠くんは蛍と違ってかわいい感じだから、美人さんよりもかわいい感じの子と付き合ったらお似合いだと思う。
「灯佳里、いい加減蛍に構うのやめなさい」
「姉ちゃんこそ彼氏作れば?」
「いらなーい」
「そんなこと言ってると行き遅れるわよ」
「別に一生独身でもいいもん」
「なにいってるのよ」
今時珍しくもなんでもないよ。それにみんな私と身長一緒くらいなんだもん。そんなんじゃチューするときのドキドキ感とか半減しちゃう。別に身長がすべてとは思ってないけど、やっぱり彼氏にするなら私より身長高くて優しくてかっこよくないとやだ。
「は!わかった!」
「なにが?」
「蛍がかっこいいのがいけないと思います!」
「何言ってんの?」
「はいはい。わかったから灯佳里、食べなさい」
「はい」
でもそうか、烏野バレー部か。応援しなくちゃ。
蛍に怒られても構うものか。どんなに蛍にウザがられても嫌われても私のかわいい弟なんだもん。絶対蛍の力になるって決めてるんだから。