彼と私の朝

てっちゃんの寝起きはあまりよくありません。不機嫌になるタイプとは違い、何があろうととにかく起きないと言う、ちょっとめんどくさいタイプです。
アラームを無視してまで寝るので、私が止めることも多いのですが…

「てっちゃぁ〜ん」

私を抱き枕にするのは本当にやめてほしいです。

寝る前は高校の時既に癖になっていたらしい変な寝方なのに、どうして朝になると私に引っ付いているのか。

なんとか寝返りをうっててっちゃんに背を向けると、充電器と繋がったmy携帯が寝る前と同じくそこにあった。確認しようと携帯に手を伸ばした瞬間、てっちゃんの腕により力が入る。苦しくはないけど、振りほどくには難しい。

まだ時間あるからいいけど、この寝起きの悪さはどうにかならないかなぁ。

「てっちゃん起きてー」
「んー…」

曖昧な返事と共に背中に頭を擦り寄せられる感覚。

「朝だよー」

私に引っ付いたままなにやらもごもご言ってるけど、ほとんど何を言ってるかわからない。

「ねぇそろそろ起きないとだか…」

お腹辺りに絡まっていたてっちゃんの手が、予告もなくするりと上にあがってきた。つまり、胸。

「…なぜ乳に手をおくか」

そしてむにむにするな。さては推測するまでもなく寝ぼけてるな?
だからって許したりはしないけど。

「って!」
「起きた?遅刻するから離して!あと胸触らないで」

相変わらず変な寝癖をつけた頭を叩いたついでに、てっちゃんの腕から逃げ出す。

「別にイーじゃん。減るもんでもねぇし」
「増えるからやめて」
「そりゃいいや」
「てっちゃんが買ってくれるならいいよ。ワンセット8,000円以上だけど」
「ごめんなさい」
「わかればよろしい」

金額は多少盛ったけど、大体それくらいする。

女の子は下着ひとつとっても大変なんだから。今でさえサイズがなくて大変なのに、これ以上成長してたまるか!

「二度寝しないんだよ?」
「おー」

でも私の準備が終わるまでには寝てるんだよね。いくら私より遅い出社とは言え、こうも堂々と寝られると羨ましい。
その代わり退社時間は私の方が早いけど。

化粧やらなんやら準備を終わらせて覗くと、やっぱりてっちゃんは夢の中。

「じゃあね」
「…おー…」

うっすら起きてはいるらしい。ちゃんと起きればその変な頭も直せるんじゃないかな。なんてどんなに言っても、ギリギリまで寝るのがてっちゃんという生き物。

「行ってきます」

半分夢の中に旅立ってるてっちゃんの頭をくしゃくしゃに撫でて、部屋のドアを閉めた。

玄関を出る前にささっと窓の鍵や火の元を確認して、ようやく玄関の鍵をかける。

窓の鍵は毎日私が確認しないといけない。いつもギリギリまで寝てるてっちゃんは準備もギリギリだから、万が一開いていても気付かないことがある。

だから、朝は私がしっかりしないといけないのです。


2016/03/23