おでかけ

「てっちゃん、できたよー」
「じゃあ行くか」

昨日お休みを確認されて、なにかと思ったらおでかけしようってことでした。
手早く準備をして、てっちゃんと並んで歩き始める。滅多に休みが被らないからか、でかけるときは大概手を繋いでる。

「その格好寒くねぇの?」
「大丈夫。ちょうどいいくらいかな」
「俺暑いんだか寒いんだかわかんねぇや。腕捲ると寒ぃし、下ろしてると暑ぃ」
「日向はあったかいからねぇ」

そう言うわりに、私の手は離さない。一瞬左手を使いたいタイミングにはわざわざ右手で私の手を繋ぐくらい。
別に離してもこんな近所ですぐ迷子にならないから大丈夫なのに。

「今日はどこまで行くの?」
「んー、牧場」
「牧場?」

動きやすい格好にしてよかった。

てっちゃんがこうして突然でかけようって言い出すのは、なにも珍しいことじゃない。てっちゃんなりに考えてくれてるんだろう。高校の時は部活で大変だったし、大学に入ってからは私もバイトだ就活だと、他の人達に比べてなかなか時間を作れなかった。

「なんか自然を感じたくなった」
「なにそれ」

その時の隙間を埋めるように、予定が合えばてっちゃんはどこかにでかけようとしてくれる。

「まぁ休日だから人多いだろうけど」
「そうだねぇ…電車どれくらい乗るの?」
「一時間くらいか?」

思ったより近い。牧場って言うくらいだからもっと遠いのかと思ってた。

「んふふー」

ちょっとだけ遠くにおでかけ。
卒業してもなかなかお休みが合わないから、こうしてどこかにでかけるのは本当に久しぶりになる。買い物行ったりとかはたまぁにあるんだけどね、やっぱり違うよね。

「なんで引っ張るんですかー」
「引っ張りたくなったんですー」

引っ張ったんじゃないんだけどね。繋いだ手を振っただけなんだけどね。

「なんでつつくんですかー」
「つつきたくなったんですー」

ちなみに、てっちゃんの脇をつつくのは癖みたいなもの。
弱いかなと思ってつついたのに全然平気そうにしてたから、それから面白がってつつくようになったってだけ。

「なんで体当たりするんですかー」
「そんな気分なんですー」
「どんな気分だの」
「ふふー」

幸せってこう言うことを言うんだと思う。ふらりとしてみればてっちゃんが引き戻してくれて、ぶつかってみてもなんなく受け止めてくれる。

「足おかしくするぞ」
「ならないよー」

さて。これから行く牧場の規模はわからないけど、あまり大きくはないだろう。なにせ近いから。いや、一時間もあれば近くないのかな?
馬と牛はいるのかな?いるならいいな、馬乗りたい!

「ほら、今からはしゃぐと疲れんぞ」
「はぁーい」


2017/05/08