類は友を呼ぶ(仮)
「木兎さぁーん!」
「んあ?」
廊下の向こうから木兎を呼ぶ声が近付いてくる。
「おー!どーしたっ」
「お誕生日おめでとーございますぅー!」
走るスピードを落とすことなく、勢いよく木兎に突っ込んだ。
ちっさい女子に突っ込まれたところで木兎がふらつくわけもなく、なんなくその女子を受け止めていた。
「わっははは!ありがとよー!」
ひとつ学年が下のこの女子は赤葦と同じクラスの六坂ちゃんで、なんやかんやあって木兎と知り合いになったらしい。それからなんやかんやあってファンになったとかなんとか。
大事なところが何一つわからないことに関して言い訳が許されるなら、めんどくさがってまともに答えてくれなかった赤葦が悪いと言いたい。すやぁじゃねーよ。予想外の返しに笑ったけどよ。
「木兎さん卒業しちゃヤダァー!」
六坂ちゃん気が早いな。まだ10月にもなってねーけど。いや、遅いのか?
「卒業はするぞ!母ちゃんが怒るからな!」
基準おかしいだろ木兎。お袋がこえーのは全力で同意するけど。
「でもお前が俺の後輩であることに変わりはない。だから落ち込むな」
お、珍しくまともなこと言ってんじゃねーか。だけどよぉ、六坂ちゃんに通用するかぁ?
「ヤダァー。木兎さん留年してくださいよぉー」
案の定六坂ちゃんは怖いことを言い出した。
そいつマジで留年するかもしれないんだからそれだけはやめてくれ。
「できん!母ちゃん怖い!」
そんでお前もブレねーな。
「大学どこ行くんですか?」
「バレーできるとこ」
「じゃあ推薦ですよね。私に行けるかな…」
「待っててやるからまた俺の後輩になりに来い」
木兎、そーじゃねーと思うんだけど。
「………行きます。だから待っててください」
木兎が全くわかってないと知っての返事だろうな。かわいそうに…六坂ちゃんかわいいんだからもっと他にいいやついるだろ?例えば俺とか。
「おう!」
とか言っても虚しいだけだった。クソ、木兎の癖に。
六坂ちゃんも少しくらいこっち見てくれてもいいだろ?無理か。
「じゃあもう行くぞ」
「あとで練習見に行きますね!」
「待ってるからな!」
「…はいっ!」
あーあ、そんな嬉しそうにして。
「あ?どした?」
「いや、お前も悪い男だなと思って」
「どのあたりが?」
「全部」
「はぁ?!なんだよ!教えろ木葉!」
「教えねーよバーカ」
「おい!待てって!」
バカはバカのままでいいんだよ。
じゃないと六坂ちゃんがもっとかわいそうなことになるだろ?
「じゃーね、六坂ちゃん」
「あ、はい!」
「あとでなー!」
「はいっ!」
「木葉、なんのことか教えろ!」
「お前がちゃーんとわかったら教えてやるよ」
「なにをだよ!」
「それ教えたら意味ねーだろ」
なんて騒ぎながら走ってたら、学年主任のババアに怒られた。
それもこれも、全部木兎のせいにしておいた。