初めての秘密

「もしよかったら、考えてくれないかな」

人生で初めて告白と言うものを受けた。

「えっと、」
「返事は今じゃなくて今度でいいから!それじゃあ!」

相手は簡潔に伝えたいことだけを伝えてどこかへ行ってしまった。どこかと言うか、きっと教室だろう。確か…近藤なんとかさんって言ってた。多分同じクラスになったことはないはずだけど、どこで私のことを知ったんだろう。
こんな私に告白なんてものをしてくれたことは未だに信じられないけど、残念ながら私の答えは決まってる。だって知らない人とはお付き合いできない。それに私は、約束を守らないといけないから。
なんて言い方は悪いか。私が勝手に約束を守ろうとしてるだけなんだから。

「おかえりー」

教室に戻れば友達が迎えてくれる。
パックのジュースはすでになくなったらしく、べこべこと音を出して遊んでいるらしい。

「なんだったの?」

さて、あれは友達に言ってもいいものか。
私が誰かに言われたら嫌だからやめておこう。

「ちょっとお話しただけ」
「ふーん」

こんな言い方をしてもなんの話だったのかわかるだろう。私があの人を知らないことは呼び出された時点でわかってるはず。尚且つ、呼び出しで連想するものは恐らくひとつ。
ほとんど正解に近い予想がついてるにも関わらず深く掘り下げないでいてくれるのはとても助かる。空気の読める友達は大切だ。

「あ、今日さ、カフェよっていかない?」
「いいよ」
「昨日新作出たんだよねー」

お返事は最初から決まってるし早い方がいいんだろうけど、あの人のクラスわかんないから見つけた時にでも言おう。

「あ、ねぇねぇ」
「んー」
「今度の試合は応援行くの?」
「なんのやつ?」
「バレー部!」

試合あるんだ…

「行ったことないや」
「え!」
「学校で行く時は行くけど、個人的にはないなぁ」

一応こたくんが出そうなおっきい大会とかは知ってるけど、それ以外はあんまり知らない。その代わり、学校で応援するような試合はちゃんと覚えてる。

「本当に行ったことなかったんだ」
「うん」

流石にもうないと思うけど、万が一にも私が行ったことで調子を崩したらそれこそ申し訳ない。
こたくんは梟谷の大切なプレイヤーなんだから。

「いくらなんでも上から観るのは大丈夫でしょ」
「でもほら、すごい人のは上まで飛んでくるらしいし」
「そんなのまで気にしてたらこれから先生きていけないでしょーよ!いいから行くよ!」

まぁ、人混みに紛れてしまえばわからないか。こたくんみたいに目立つわけでもないから今度この友達と一緒に、こっそり観に行ってみよう。

「木兎って意外と過保護なんだね」
「昔の私が原因だからなんとも言えないけど」
「今いくつだっての。うちらもう18だよ?」
「そうだよね」

こっそり観に行ったら、バレないかな?それとも気付いて不調になるのかな?
少しでもこたくんに影響しないように、ちょっと変装でもしてみよう。それでバレなければいいなぁ。