02/18
(うっかりアニメ一本分なので長い)
(方言間違ってる可能性大)
我が校長の亡き親友、円堂大介の孫である円堂守が来たらしい。
もちろんどんな人かは何となくの範囲でならわかってる。FF優勝の最有力候補だった帝国をやぶり、40年振りに頂点に君臨したチームのキャプテン。
『あ…』
「みんな!集合だ!」
校長とならんでぞろぞろくるのは、間違いなく件のイレブン。見覚えのある顔が多いけど、知らない人もちらほら…新規メンバーかいね?
「俺は陽花戸中キャプテン戸田。君たちの活躍はよく知ってる。俺たちみんな、君らのファンさ!」
「そんな、ファンだなんて…」
どんな試合も基本的に楽しんでいる人だとは思ってたけど、やっぱりいい人みたい。
「よろしく頼んだよ」
「ありがとう。みんな、よろしくなっ」
「「「よろしく」」」
そんなことより…
「おい立向井!なにしてんだ?円堂くんだそ?どうしたんだ?」
『ちむ。呼ばれとっとーよ』
「で、でも#name1#」
玄海さんの影に隠れて雷門イレブンを伺い見るのは私の幼馴染み。
「円堂さんに会えたらオレ感激ですって言ってたのに…」
『ほら、いつまでも隠れとらんで行ってきんちゃいな』
「は、はい」
背中を押してやってやっと動き出した幼馴染みは、一層こっちが恥ずかしいくらいガチガチに緊張してるのがまるわかり。
「手と足一緒に出てるっス」
『きんちょーしすぎっちゃろ』
「え、え、円堂さんっオレ、陽花戸中一年立向井勇気です」
「お?おう。よろしくな」
「あ、握手してくれるんですか?!」
「もちろんさ」
ひねくれて聞くと、自分は握手を求められる人間だと意識しているかのような物言いに聞こえなくもない。なんて、ひねくれすぎね。
「円堂さん…!!」
『手ふりすぎ』
まぁ、当人が嬉しそうだからそんなこと部屋の隅の埃よりもどうでもいいんだけど。
「感激です!オレもうこの手一生洗いません!」
「…いや、ご飯の前には洗ったほうがいいぞ」
「ですよね…」
またそんなこと言って…ひかれても知らないから。
「君もサッカー好きなのか?」
「はい!大好きです!」
「立向井は元々MFだったんだけど、円堂くんに憧れてGKに転向したんだ」
「それ、本当なのか?」
「は、はい」
今の疑うような言い方もなんか気になる。気にしてるのは私だけみたいだけど、円堂さんのもともとの話し方なのかしら。
「立向井、アレを見せるんじゃなかったのか?」
「なんだい、アレって?」
「オレが習得したGK技です。でも、円堂さんに見せるのは緊張する…」
「見てみたいな」
「本当ですか?!」
「ああ!」
ちむの当初の希望は戸田さんのおかげでなんとか叶えられそうだけど…失敗しないかが心配なんよね。
本番に弱いところがあるから。
『ちむ、いつも通りっちゃ。変にきんちょーせんこと。よかな?』
「うん」
外野のイレブンはいろいろ言っちょるけど、ちむの技を見てもそげなこと言ってられるかいねぇ?
「それじゃあいくよー」
「お願いします」
見せてやりんしゃい。ちむの努力の結果を。
「ゴッドハンド!」
雷門は唖然呆然。
全国レベルで通用するかどうかって?するに決まっちょる。雷門キャプテンの技なんだから。
「…ゴッドハンドだ!すごいよ立向井!お前やるじゃないか!」
「あ、ありがとうございます」
「でも、どうやって…」
「あいつはゴッドハンドの映像を何度も何度も見て、死ぬほど特訓したんだ」
「見ただけで身につけたって…?」
「すごい才能だな…」
『才能だけやなーて、努力もしたっちゃね』
「夢っスよね、キャプテン以外のひとがゴッドハンド使うなんて、夢っスよね」
『夢なんかやなーて』
「でもそんなすごいことなのか?」
「そーや。あんなん手をびゃーんと出して、ギャーンとやったらできるんちゃう?」
「円堂はゴッドハンドを身につけるためにそれこそ血の滲むような特訓をしたんだ」
『そげなんちむだってしたっちゃね。ちむや円堂さんだけやなー。みんなそーちゃろ?』
「それもそうだけど…」
「お前は?」
普通に雷門に混じって文句言ってたら、普通に気付かれた。
「立向井、手を見せてくれないか?」
「は、はい」
「やっぱりな…相当特訓したんじゃないか?」
「いえ、それほどでも」
『そんなことないっちゃろ!ちむは頑張って習得したんやけな!』
「#name1#…」
「だからお前は誰なんだ…」
「そうか。努力は必ず結果に繋がる」
「はい」
「いくぞ」
「はいっ!」
「「ゴッドハンド!!」」
2つのゴッドハンドの輝きは太陽より眩しくて、月の光よりやさしく校舎を包んだ。
「…ほ、本物だ…」
「すごいよ立向井!お前のゴッドハンドは本物だ!」
また疑ってたのね?その目で見たなら信じんしゃいよ。
私に言えることではないけど。
「あ、ありがとうございますっオレ、もっともっと強くなります!」
「ああ。そのためにはもっともっと特訓だ!」
「はい!」
「よかったな立向井」
「はい」
「どうだい。俺たちと合同練習しないか?」
戸田さんの一言で、雷門陽花戸のイレブンをシャッフルしての合同練習になった。
画面の向こうよりもずっと素晴らしい。当たり前だけど、目の前に本物の強さがある。
絶対、負けない。
『ぅぁあああ!』
「決まったー!陽花戸中一年!#name2##name1#のシュートが決まったー!!」
「円堂を抜いた…」
「#name1#!できたじゃないかっ」
『決めてやったっちゃ』
「あいつすごいな!女子でFWってだけでも珍しいのに、技もすごい!」
『女子だからってなめてもらったら困るっちゃね。私は男子にも絶対負けんとよ』
と言うか、全国の女子サッカー選手に謝りんしゃい。あなたのチームにもいるっちゃろ?失礼っちゃね。
「日も落ちてきた。今日はここまでにしよう」
「そうだ。明日、練習試合しないか?」
「円堂さんのプレー見せてくださいよ」
「いいぜ、やろう!」
そんな軽いノリでなんと学校にお泊まりが決まりました。こんなことなかなかないと思う。やっぱりうちの校長変。
ちなみに、私は女子にも関わらず練習してご飯を待ってます。手伝おうとしたら「選手は練習してなさい」って。
マネージャーだって大変なのに…
「ご飯ができましたよー」
「「はーい!」」
ご飯はカレー。大量製作にとっても便利でお値打ちな料理。
…牛乳あるかいね?
「はい」
『あ、ありがとね』
「#name1#ってカレー食べられたっけ?」
『辛くなけりゃー』
「牛乳あるか聞いてこようか?」
『そいくらい自分でできるっちゃねっ』
「ほら、牛乳」
『戸田さん…』
「辛いの苦手だっただろ?」
『ありがとうございます』
「#name1#、前に間違えてオレのピザ食べたとき大変だったもんね」
「あのときはびっくりしたな」
『早よ忘れちゃんないね』
「はは。かわいくていいじゃないか」
「はい」
『よかないっもう知らんね』
「そんなこと言わないで、ほら、食べよう」
『…辛くないとよかんけど』
「大丈夫だよ、きっと」
おっかなびっくり口にしたカレーは思いの外食べやすい辛さで、すこし安心した。
「か、辛ーーー!!」
「ウッシッシッ」
なんかやらかしたらしい雷門のちんまいのが笑ってる。
こごしょーでもかけられたんだろうか…
「え?…辛ーーー!!」
『ちむは平気なんよ』
昔から辛いの平気なのよね。こごしょーをかけるほど好きなわけではないけど、かけられてもぜんぜん大丈夫なんて、うらやましい…
『…!?はっ!!にっ!!』
「どうしたの?#name1#」
『かっ…かゃ…ひ…』
「まさか#name1#のカレーまで?!」
『ひにゃ…にゃ、んばひょっとれ!』
「舌回ってないよ。ほら、牛乳」
辛い辛い辛い辛い辛い!!辛い!!
牛乳飲んだけど変わんない!辛い!!
「どうしたんだ?」
「辛いの苦手だからカレーが辛かったみたいだ」
「小暮がいたずらしてたでやんす」
「小暮くん!!」
なんてやつだ。あいつ嫌いだ。
「新しいのもらってこようか?」
『ばってん、これもったおらん』
「オレが食べるよ」
『ちむ食べきれるの?』
「もちろん」
『…じゃあお願いする』
マネージャーさんたちは全部見てたようでなにも言わず新しいカレーと牛乳をくれた(むしろ謝られた)
「あ、もらえた?」
『うん。逆に謝られた』
「時間あんまりないから早く食べちゃいな?」
『知っちょーけん』
手早く食べた後はあわただしく就寝準備。みんなでわいわい騒ぎながら何かをするのは、嫌いじゃない。
▼△▼
雷門の人が用意してくれたテントのなか(どうしてかチームのみんなと寝かせてもらえなかった)、ぼんやりしてたらどうやら周りはみんな寝てしまったらしい。
『…女子っち、なしてこげん恋バナの好いとっちゃんか』
生憎そんなことに興味がなかった私は、ひとりでぼんやりしていたらこうなってしまったわけなんだけど。
こっそりテントを抜け出して外に出ると、初めての深夜の空が広がっていた。
散り散りに瞬く星空と一緒に、小さな話し声がした。
『誰か起きんしゃいると?』
「え?#name1#」
「#name2#!まだ寝てなかったのか?」
『ちむと円堂さん』
「吹雪もいるぞ」
『こげな時間まで寝んとなにしちょるんですか…』
「#name1#もだろ?」
「登ってこいよ」
あまり大きな声で話しているのも迷惑(と言うか、見つかったら起こられそう)なので素直にキャラバンの屋根に登った。
『隣、失礼しますけんね』
「ああ、うん。いいよ」
吹雪さんは眠いのかぼんやりした物言いで返事をくれた。ぼんやりでも本人から許可はもらったから図々しいと言われようとも隣に居座るけど。
てゆーか狭い。
『どげんかしとったですか?』
「うん?」
『なんや元気なしゃそーやしたけん』
「そんなことないよ」
『そーやか』
「ありがとう」
『なんにもしとらんのに、お礼なんていいっちゃね』
「そっか」
「なぁ、#name2#」
『なしけんしゅか?』
「今日のシュートすごかったなっアレなんて名前なんだ?」
ああ、考えてなかった。
そうだなぁ…
『シルフェプルラン』
「へー」
わかってるんだろうか?
「よくわかんないけど、なんかいいな」
わかってなかった。
ちむはなんだか円堂さんと話せて嬉しいのかいつもより犬みたいになっちょるし、吹雪さんはさっさと寝てしまったから、結局私は暇になってしまった。
さっきまでと違うところがあるとするなら、不思議な眠気がやってきたところだろうか。
(#name2#寝てるぞ?)
(毛布もなにもなしに外で寝るなんて!)
(あなたたち!こんな時間に何をしてるの?!)
2016/05/27 修正