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(これの続き)



ギラギラと強すぎるスポットライトで照らされたような私と彼女の舞台。脇役は全校生徒。メインの私達の脇をかためるのはテニス部レギュラーのメンバー。

歌舞伎舞台の花道の様に空けられた道を進んだら、それはこれから始まる不思議な不思議な舞台への招待状になる。
キャスティングに不満はない。演じることに迷いはない。
客席は、もう照明が落とされて暗いから、アカリがツクまでもてなされてあげようじゃない。

「自分のやったことわかっとる?」
『だから私は無関係なんだって』

さぁ、今日の見せ場を始めよう。

「じゃあなんで#name1#が叫んだんだよっ」
『そんな気分だったんじゃない?』

5秒前…

「ふざけんな…」
『だからなんの事かな?』

4…

「腕切れてたんだぞ…」
『転んだのかな?』

3…

「#name1#はお前に切られたって言ってんだよ!」
『記憶にないな』

2…

「人を傷付けたこと忘れんのかよっ!」
『いや?』

1…

「じゃあ、なんで…!」
『彼女に怪我を負わせた記憶がないだけだ』
「この…!!」

さぁ!王子様達に守られて嗤っている彼女も!すっかり騙されてるバカなこいつも!噂と嘘に振り回されて真実が見えてないお前達も!みんなそろって大騒ぎしようじゃないか!

「ふざけてんじゃねぇっ!」
「#name1#がこんなに怯えてるのに記憶にないだと?!」
「腐ってんじゃねぇのか?!」

進め、進め!狂いに狂った不思議な舞台の幕は今上がった!もっともっと盛り上がれ!

「見損なったわ」
『始めから見えてやいなかったのに何がわかる?』
「黙ってろ!」

殴る蹴るの暴行を躱すことなくすべて受ける。一応見えないところを狙ってはいるらしい。

予定通り。つくづく模範通りだよ、君達は。誤差がここまでないと気味が悪いね。しかし面白味に欠ける。
なに、どんなにこいつらが大根だろうと、私は台本通りに演ればいいのさ。
ト書きに忠実に、かつ私の個性と性格とキャラクターを全面に押し出すように身を任せれば、他はなにも考えなくていい。なにも考えないでバカになればいい。

「声のひとつも出さないとか」
「きめぇな」
「ええやん。叫ばれるよりは」
「こいつがそんなタマかよ」

ぐるぐるする嘘の真実に踊らされて、ワンツースリーの声にあわせて、偽りの正義感に酔わされて酔って、もっともっと騒げばいい。

『声を出さないんじゃない。必要ないんだ』
「なんだと?」
『こんなの痛くも痒くもない』
「そう言う趣味なん?」
『いや。どちらかと言うならエスかな』

単純なのがつまらないなら、もっと狂わせるまで。



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