09/17

(文化祭の劇な感じ)





[あるところに、空想が好き(という設定)な#name1#と言う女の子がいました。今日も#name1#はお気に入りの木の下で、飼い猫のダイナと一緒に本を読みながら空想に耽っていました。]



「こらダイナ、イタズラしないの。おやつ抜きにしちゃうわよ?…そう、いい子ね」



[そうして時間を潰していると、きっちりタキシードを着たうさぎが#name1#の目の前を走り抜けて行きました。]



「くそっ急がねぇとこのままじゃ遅刻じゃねぇか!」



[走りながら懐中時計を確認して、止まることなく#name1#の前を走り抜けてしまいました。]



「なにをそんなに急いでいるのかしら…待ってうさぎさん!私も連れていってちょうだいな」



[しかしうさぎは止まることはない。「大変だ、急がなきゃ」と言いながら#name1#のことを無視して走って行ってしまいます。]



「ダイナ、ここでいい子にお留守番しててね。きっとすぐ戻るわ」



[追いかけていると、うさぎは木のウロにひょいと飛び込んでしまいました。]



「待って!」



[そんなに広い穴が開いているとは思えないウロでしたが、うさぎがあまりに勢いよく飛び込んだものだからなんの疑問も持たずに#name1#も中に飛び込むように覗きました。]



「え。嘘」



「全力で走って飛び付いたウロは#name1#の体重を支えることなんてまったくせず、そのなかに開いた大きな穴に招き入れました。」



「きゃあああああっ」



[悲鳴もあげましたが、しばらく落ち続けているとわかると、すっかり落ち着いてしまい、挙げ句回りの観察をはじめてしまいました。]



「もうどれくらい落ち続けてるのかしら…なんだか勢いも弱くなってるみたいだし…重力が弱くなった感じかしら?」



[壁(と言っても剥き出しの土壁だが)にはなんだかよくわからない油絵や肖像画が飾られ、時々追い越すテーブルにはクッキーやケーキ、紅茶といったものが乗せられていた。]



「どうしてこぼれないのかしら…」



[手にとってポットからカップに注いでみても、飲んでみても、それはまだ暖かいなんの違和感もない普通の紅茶。クッキーはいつも食べるものより美味しかったくらい。]



「手を離してもテーブルに置いても私と一緒に落ちないのね…不思議…え、きゃあ!」



[突然普通の落下速度になったかと思ったら、枯れ葉の山のなかに#name1#は落ちていました。]



「もう、落ちるなら落ちるって教えてほしかったわ。今まで落ちていたからそれも変な感じだけれど。それにしても…ずいぶん落ちてきたのね」


[スカートや髪についた枯れ葉を払いながら見上げると、落ちてきたであろう穴は針の穴ほどに小さくなっていました。]



「ここから帰るのは無理そう。他の道を探さなきゃ…あら!」
「急げ急げっ」
「待ってうさぎさん!待ってちょうだい!」



[長い横穴で声は反響している。更にうさぎの耳で聞こえないわけがないのに、うさぎはぴょんぴょん前に進んでいく。]



「もう、どうなってるの?耳が悪いうさぎさんなのかしら?」
「くっそー!またどやされる!!」



[うさぎが角を曲がったので#name1#も同じく曲がりましたが、そこにうさぎはいません。そこは広い食堂のような大きなテーブルが置かれた部屋でした。]


「どこに消えちゃったのかしら…」



[部屋を一周するがうさぎは見当たらない。かわりに小さな扉を見つけました。]



「ここかしら…」
「触るな!」
「きゃあ!」



[扉を開けようと手を伸ばすと誰もいなかったはずの背後から突然声をかけられ、#name1#は飛び上がってしまいました。]



「わ、悪い。そんな驚くとは」



[声をかけてきたのは、門番のような格好をした短髪の小さな人。小さな扉と比べるとちょうどいいサイズです。]




「ごめんなさい。触ったらいけないものだと思わなかったので」
「いや、そんな真剣に謝んなくてもいいけどよ…なんか探してんのか?」
「そうだったわ。私、うさぎさんを探しているのですが、ご存じないですか?赤毛にうさ耳の…」
「岳人のことか?」
「ガクト?」
「そんなやつ二人といないからな」
「お名前までは存じ上げておりませんが、きっとその方だと…」
「岳人ならこの向こうだ」
「やっぱり!ありがとうございますっ」
「でも通すわけにはいかねえ」
「どうして?資格が必要なの?通るのに資格が必要な扉なんて聞いたことも見たこともないわ」
「資格じゃなくて、鍵はあるのか?」
「鍵?」
「鍵がなければたとえ岳人だろうと通すことはできねぇ」
「それもそうだわ。でもうさぎさんが通ったあとなら開いてるんじゃないですか?」
「いつまでも鍵があいてるわけないだろ。鍵は扉が開かないようにするためにあるんだから」
「でも試すくらいならいいでしょう?」
「いいけど、絶対無理に開けようとするなよ?」



[開けようとしますが、小人の門番が言うように扉はガチャガチャ鳴るだけで開きません。]



「ほらな。わかったら諦めな」



[仕方なく#name1#は扉を背にまた部屋を回りはじめるのでした。]



「鍵なんて持ってるわけがないわ。だってなにも持たずにうさぎさんを追いかけてしまったんだもの。でも鍵がなくちゃ家に帰ることもできないわ…どうしましょう」



[すっかり疲れてしまった#name1#は、適当な椅子に腰掛けてまた考え始めました。しかし結局は鍵を見つけて先に進むしか思い付きません。なぜなら、落ちてきた穴を上がるなんてとてもできそうにないからです。]



「どうしたらいいのかしら。進退両難とはまさにこの事だわ…」



[頬杖をついてぼんやり小さな扉をみながらテーブルを指で叩いていた時、なにかに触れたような気がしました。]



「あら、こんなところに鍵なんてあったかしら?」



[それは探していた鍵でした。すぐに鍵を摘まんで、小さな扉の小さな鍵穴に差し込みました。]



「やった、開いたわ」
「ちょっと待て!」
「なんですか?小さな門番さん」
「俺は門番じゃなくて宍…ってそんなことはどうでもいい!お前その扉を通るつもりか?」
「ええ」
「諦めな」
「もう、またそれですか?鍵は見つけました。その鍵で扉も開いた。なのにそれ以外にもなにか必要なんですか?」
「サイズがおかしいだろ。お前じゃ通れねぇよ」
「そうだったわ。すっかり忘れてた」



[鍵をみつけた事に気をとられ、自分がその扉を通れるかどうかなんて、頭の中からすっかりなくなっていたのです。]



「わかったら諦めな」
「諦めません。なにか方法があるはずですもの」



[#name1#はふたたび部屋を回りはじめました。もしかしたら見落としていたなにかを見つけられるかも知れないと思ったからです。真っ白いテーブルクロスのかかったテーブルの上にはなにもないので、見落とすもなにも、まずなにか見つかることがないとも思いますが。]



「どうにかしてあの扉を大きくする方法ないかしら…その逆でもいいんだけど」



[何度テーブルの周りを歩いたでしょう。そんなに都合よく見つからず、今度はテーブルの下をはって歩いてみたりもしました。]



「よく考えたら、テーブルの下になにかあるわけがないわよね。私ったらなにをしてるのかしら…いたっ」



[テーブルに頭をぶつけながらテーブルの下から這い出すと、テーブルの上には見覚えのないケーキ]



「(え、ケーキ?)こんなのさっきまでなかったわ。えー、「私をお食べ」…これも試してみる価値はあるわね」



[置いてあったプラスチックフォークで小さく切って食べ始めた]



「あら、以外と美味しい。落ちてる途中のクッキーもなかなか美味しかったのよね」



[ぺろりとたいらげても変化はなにもありません。]



「(ここ、小さくならなきゃいけないのよね…なのにケーキじゃぁ)わっえ?!嘘ぉ!?」



[#name1#はみるみる大きくなり、テーブルを押し退け椅子はいくつか壊れたような音もしました。広かった部屋はあっという間に#name1#にとって窮屈すぎるものになってしまいました。]



「い…った…」
「うお!?アブねぇ!」
「あ、門番さん。今の私だと門番さんがみえないのですみませんがご自分で逃げてください」
「言われるまでもなく逃げるっつの!」



[門番(ではないらしいが)は一目散に部屋から逃げ出したました。]



「もう…どうしましょう(段取りと逆なのよね。このままでうまく次に進めるかしら)」



[#name1#が途方にくれようとしていた時、不自然なほど違和感なく「私を飲んで」と書かれた瓶(今の#name1#にとってはミニチュアほどのサイズがだが)が更に小さくなった扉の側に置いてあった。]



「(このサイズだと効力に些か不安がありますが…先に進まないわけにはいかないものね)」



[小さな瓶の蓋を器用に開けると、少ない中身を瞬く間に飲み干しました。今の#name1#には目薬ほどの量しかなかったので当然といえば当然なのですが。]



「あら?」



[ケーキを食べたときよりも早く効果は現れ、今度は少し小さすぎるくらいになってしまいました。]



「両極端ね。さて、これで扉は通れるでしょうし、鍵はどこにいったのかしら」



[#name1#が大きくなった際、部屋の中はめちゃくちゃになってしまったので、壊れた椅子や端に寄せられたテーブルの中から鍵を探さなくてはいけなくなりました。]



「こんなに壊れなくてもいいじゃない。私だって痛かったのに…」



[鍵は扉に程近いテーブルクロスの下にありました。やはり小さくなりすぎていたらしく、鍵は通常よりも大きくなっていました。]



「ノブが片手で掴めないなんて、貴重な体験したわ」
「お?今度はずいぶん小さくなったな」
「門番さん。先程は失礼しました」
「気にすんなって。行くんだろ?」
「はい」
「気を付けろよ」
「ありがとうございます」



[こうして#name1#はようやく外に出ることができたのでした]




(続きは未定)



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