03/25
のう、レイコ。お主はいつか私にこう言ったな。
「人間は嫌いだ」と。
お主と言葉を交わしたのは後にも先にもこれきり。
私を打ち負かし名を奪ったと言うのにこれだけとは、あまりに薄情ではないか?
あげく名を返すこともせず先に逝きおって。
のう、レイコや。
お前は妖も嫌いだったのか?
もしそうなら、お主はどうやって生きていたのだ。
人間も妖も嫌い。
ひどく寂しかったろう。
己が力だけを信じ、孤独と戦っていたのか?
お主とてか弱き人間であるレイコが、よくも足掻いたものよ。
のう、レイコ。お主までこの声は聞こえておるか?
私はお主が好きであった。
少なくとも、お主になら消されても良いと思う程に。
お主の居らぬ世界はこんなにもつまらぬものだったのだ。
今、お主の元に逝こう。
「貴様、レイコの縁者であろう。こ度は我が名を返していただきたく参った」