05/01
(他サイト影響有の柳さんの続き的な雰囲気のお話)
(今回は暗いの嫌い+ある時間になると突然寝る女の子になってもらった)
(跡部別宅(略して跡別宅)にて迷子中)
どうしよう。
部屋わかんなくなっちゃった。
だいたい跡部ん家が無駄に広すぎんのよ!
トイレぎりぎりまで我慢したら絶対間に合わないじゃない。
うー…やっぱり誰かに着いてきてもらえばよかっ…いや!それは恥ずかしいからダメだ。
でも、こんなの跡部に知られたら絶対バカにされるよー。
「俺様の家で迷子とかどんだけ方向音痴なんだよ」って絶対言われるー!!ムカつくー!!
「こんな時間にどうしたんだ?お前が一人で歩く時間ではないだろう」
私が暗いの好きじゃないの知ってるのか?誰にも言ってないのに…
ふっこいつなら知っててもおかしくはないか。
「気まぐれに歩いてもいいじゃない」
「迷ったんだな」
「迷ってない」
「どこに行ってたんだ?」
話し聞かないな。
「…トイレ」
「どうやったらここに来れるんだ?」
バカにされたよ!!こいつこんなキャラだったのか!
「柳に関係ない」
「それは違うな」
「はぁ?」
「お前が俺の知らない所で一人で泣くようなことがあったら困るからな」
「な…!?」
「それに、お前を助けるのは俺の役目だろう?そもそも他の奴に頼るお前なんて見たくはないからな」
「そ、そんなの柳に関係ないじゃないっ」
「俺のやりたいようにやらせてもらうと言ったはずだ」
「私の迷惑は省みてくれないのでしょうか」
「道案内はお前にとっても迷惑ではないだろう?」
くっ
ああ言えばこう言うってやつですね。わかりました。
「早く戻らないと電気が」
「ふわわわわ!」
「話している間に消灯時間になったのか」
なんで家で消灯時間があるんだよ!修学旅行か!!
「大丈夫か?」
「バカにしないでくれる?」
「ふむ。では早い所部屋に戻るとするか」
「おん。よろしゅう」
「…忍足の真似はやめておけ。似合ってない」
「はい…」
く…結構暗いじゃないの。
なのにたまに明かりが入るってなに事?ただのお化け屋敷みたいじゃない。
「そんなに怖いのか?」
「へ?ぅわ!そんなことないわよ!なんか出てくるわけでもあるまいし全然余裕よっ!」
「(怖いのか)」
服掴んでたとかどんなかわいいこよ!私がやったらただのぶりっこじゃん!!
「いっ今のは!歩くの早いから、柳が早いからだからっ!」
「だがあまりのんびりしていたら長い間暗い中にいることになるが」
それもいやだ…
「怖いなら服より手を繋いだ方がいいだろう」
「は?」
「自分以外の体温を感じていた方が一人じゃないと認識しやすいからな」
「いっいい」
「無理をしない方がいい」
「こわくなんかないから大丈夫なの!」
「ならいいが」
たかが跡部のデカハウス如きにビビってなんかないんだから。怖くなんかないんだから。
っ!!
…なんだ、木の影か…
▼視点切り替え▼
「(服を摘んでいたら怖いと言ってるようなものだが)」
こんなペースで歩いていたら余計怖くなるだけだが、気付いていないのだろうか?
しかし、これが萌えと言うものなのだろう。
普段より態度も姿勢も小さくまとまって服を摘まれるのはなかなかに悪くないな。
風の音や影にいちいち体を震わせる姿は、普段のこいつからは想像もできないだろう。
「?!」
なんだ?こんな思い切り服を引っ張るなんてこいつの性格からしてありえないはずだが…
「なっ!おい、どうした?大丈夫か?しっかりしろ」
まさか恐怖で意識をなくしたのか?そこまで怯えてるようには見えなかったが…まさか…
「寝てるのか?」
「くー」
こんな突然寝る奴があるか。
今の今まで歩きながら話していてどうして寝られたんだ。
芥川ですらこんな妙なことは…しでかしていたな。
「廊下で寝るな。起きろ」
「むー」
呻くな。起きろ。
こんな時どうするんだったか…いくらなんでも叩くわけにはいかないな。
女子を、それも好いてる女子を男相手の様にそう簡単に叩けるものか。
少なくとも俺にはできない。
「起きろ。襲うぞ」
…効果なしか。実行しても構わないが同意の上でないとただの犯罪だからな…仕方ない。
いつまでも廊下で寝かせるわけにもいくまい。
相変わらず身長の割に合わない軽さだな。病的な細さではないが、不思議なものだ。
「しかしどうしたものか…」
いくら跡部の別宅と言えどこいつが借りている部屋に無断で入るわけにいくまい。
その上鍵がかけられてたらどうにもできない…とりあえず俺の部屋でいいか。
「…んんっ」
「起きたか?」
そんなわけないか。
それにしてもよく寝てるな。
まさか毎日こんな突然寝てるんじゃないだろうな?そうなら危な過ぎる。
寝ているのをいいことに、よからぬことをする輩もいるからな。こいつの為にも言って聞かせておかないと。
▼視点切り替え▼
誰に会うこともなく部屋にたどり着いた柳は、彼女をベッドへ降ろした。
が、妙な角度で柳の動きが止まった。
「…ふ。なかなかにかわいい所があるじゃないか」
よく見ると、柳の胸の当たりでしっかりと服が握られていた。
「無理矢理解くのも無粋か。据え膳食わねばとも言うしな」
小さく笑ったかと思えば、そのまま彼女と一緒のベッドへ滑り込んだ。
「ほら、頭を上げろ」
「んんぅ」
腕を頭に当てれば素直に頭は持ち上がり、なんの違和感もなく腕枕の形をとった。
「(本当は起きてるんじゃないだろうな?)」
起きてたらかなり確信犯な小悪魔さんになるが、彼女は間違いなく熟睡している。
そんなことを考えていると、寒かったのか彼女は柳にピッタリと寄り添ってきた。握りしめた服はもちろん離していない。
「(これは…朝まで大丈夫だろうか…?)」
図らずも自ら生殺し状態になってしまった柳だが、彼女を見つめるその表情は穏やかなもの。
「んー」
「体温が低すぎるな…布団がかかっていないわけではないだろうな」
いっそ親のようである。
髪を梳いたりなんだか幸せいっぱいカップルのようなことを繰り返しながら柳が思うことはたった一つだった。
「面倒な奴らに見つからなければいいのだが」
もちろんあっさりバレることになる。
驚いて叫んだ彼女によって…
(きゃあああああ!!なんで柳が一緒にいるのー!!)
(ここは俺の部屋だ。とりあえず落ち着け)
(なにがあった!!)
(ママー!!)
(柳…貴様!!俺様の娘を連れ込みやがって!!)
(いつから親子になった)