08/19
外は朝だと言うに夜のように暗くて、時々明るくなったと思えば次の瞬間にはとんでもない雷鳴が響く。
別に雷が怖いわけではないけど、距離が近いことがわかる音と光の届く速さと、あんまりにも大きすぎる音は正直怖くなる。
なのに今日に限って家には私しかいない。
「どーしよー…」
落ちたらもっと怖いことになるからありとあらゆるコンセントを引っこ抜いて(冷蔵庫除く)機械が一番少ない、私の部屋のベッドにいるんだけど…
怖いものは怖い。
「ぎゃああ!!」
落ちた!今の絶対どっかに落ちた!!
ううう近くじゃないといいんだけどあああああ!!
《♪〜♪、♪♪〜》
?!!!…びっくりした。
電話、かな。この音は。
「はいもしもしー」
「お前大丈夫か?」
「どなたですか?」
「お前な…携帯に名前出るだろ?」
うん。ガチャ目予備軍って入ってるよ。
なんて言えない。
「ジョークだよ、ジョーク」
「…ったく、心配してやったのになんだよ…大丈夫そうじゃねぇか」
倉間?最近の携帯は感度がいいから、こっそり言ったつもりでも全部聞こえてるよ?
てゆーか外にいる?雨の音すごいけど…
それとも、倉間にも私の携帯から雨の音聞こえてるのかな?感度いいからねっ
「なに?なんで電話なんてしてきたの?」
とりあえず聞こえてないふりしてあげる私やっさしー。
「ビビってるお前をからかうつもりだったんだよ」
「それはありがとうございますー」
「マジで雷平気なのか?」
「別に嫌いとかではないよ」
「お前前に雷苦手っていってなかったっけ?」
…ん?
「そんなこと言ったっけ?」
「あ?言ってたろ、小学校のとき」
倉間には言ってない。
しかもその直後かわいこぶってんなとかクラスの男子に言われたから克服してやったし。
「そんなことっ!!」
まるで電話の邪魔をするみたいに一際大きく龍が鳴いた。
「やっぱりビビってんじゃねーか」
「今のは不意打ちだったから」
「雷に不意打ちもなにもあるかよ」
くそっ
倉間、無駄に口うまいから勝てた試しがないこと忘れてたよ!
《ピンポーン》
「うをっ誰?こんな日に…」
「いいから出ろよ」
「なんであんたにそんなこといわれなきゃなんないのよ」
「いいから」
めんどくさい…
「めんどくせぇとか思ってんなよ」
バレてる!
仕方ないなぁ…
「…じゃあ切るね」
「おう。じゃあな」
「はいはーい。こんな日に誰ですかー?」
「よっ」
「…は?」
玄関を開けたらそこには倉間がいました。(同じマンションに住んでるんだよ)
「とりあえず中入れろ。めっちゃ雨ふっこんでくる」
「あ、うん。どうぞ…」
じゃなくて!
「なんでいるの?」
「強がってるだろうお前を笑いに」
「性格悪っ」
「お、おい?泣くほど怖かったのかよ?!」
「え?」
おお。ホントだ。
「おばさんは?」
「今日はおとーさんが有休とったから新婚旅行に…」
「もう新婚じゃねぇだろ」
だって言ってたもん。
いつの間にか流れてた涙を雑に拭いながら反抗するしか、私にはできなかった。
泣いてたって意識した瞬間涙が止まらなくなる。なんなんだこれ。
「とりあえず泣くなよ」
そう言って私に触った倉間の手がやたら優しくて、余計涙が止まらなくなった。
(怖かったと言うより)
(さみしかった、みたい)
倉間はマンションなイメージ。沢さんもだけど。
小学校の時クラスの女の子と話してたことを聞いちゃって、雷が鳴るたびにこっそり心配してた倉間がいたらかわいいと思うんだ。