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冷たい風が吹く屋上で、なぜか菓子パンを貪る少女がいた。ガサガサと袋をならしながら無心で食べ進めていく。
「またこんな所にいたのか」
「今に風邪をひいても知らないぞ?」
小さな音をさせて扉を開いたのは、桃色の髪を2つにくくった少年と、色素の薄いウェーブヘアーを持った少年。
『…らんとたくか』
一瞥したのち、また菓子パンにかじりついた。
「それはなんなんだ?」
『…ねじれたパン』
「砂糖か?」
『シナモンシュガー』
「それまでは何を食べてたのか聞いてもいいか?」
『チーズのやつと、あんパンと…紅茶のシフォンと…マロンクリームのパン』
「見事に菓子パンばっかりだな」
呆れたように笑う二人は、少女の前に腰を落ち着けた。
「つか寒っ」
「せめて校舎にはいらないか?」
『なんか…イメージ崩されたくないって』
「ああ」
『女子って勝手…』
「お前も女子だろ」
『女子怖い』
「だから…」
なぜかかっこいいなんて騒がれるようになってしまった少女は、大好きな菓子パンを人前で食べることすら阻まれているらしい。
『かっこいい…だって』
「俺達からみたらそんなことないけどな」
『無口素敵…だって』
「よけいに喋ると幼いのがバレるの嫌なだけなのにな」
『甘いの好きなの…やだって』
「俺はお前と逆に言われるな」
「お前達のイメージは真逆だからな」
「そうなんだよ!甘ったるい菓子ばっかり食えるかっての」
『コーヒーなんて、飲めない』
「たまにならいいけど、頻繁にはちょっとな」
『うん』
「俺もたまに受けとるが、頻繁すぎだと思う」
「勝手だよな、女子って」
「霧野、女子の前で」
「こいつも言ってたからいいんだよ」
『イチゴみるく』
「変換逆じゃね?」
『意味は一緒』
薄いピンクのパックから薄いピンクのジュースを必死に飲む姿をみて、よくそんな甘い菓子パンと甘いジュースが飲めるものだと二人は引いたとかひかなかったとか。
「サッカー棟で食べるか。これからもっと冷え込むし」
「お、それなら寒くないな」
『たく…らん…』
「明日からはここにくるなよ?」
『うん』
(幼なじみって、いいよね)