愛を告げる
朝、教室に行くと机に花が1輪置いてあった。
花瓶に入ってるとかそんなわけじゃないから、たぶんいじめとかじゃない。そうだと思いたい。
友達も知らないらしく、誰が置いたのか全くわからない状態。友達には冷やかされるし男子には何故か笑われるし困ったけど、別に花が悪いわけじゃない。
今日はこの花と共に過ごそうではないかと、机に置いたまま1日の授業を終えた。
掃除が終わって教室に戻ると、今度は机の中に手紙が入ってた。
それは手紙とはとても言えない、ノートを千切った紙に書かれた走り書きのような手紙。
誰かに見つかるとまた冷やかされることは目に見えている。私は内容を確認すると鞄の内ポケットに突っ込んだ。
なにこれ。朝から私の頭は混乱しっぱなしなんだけど。と言うか誰?名前くらいかいてほしい怖い。でも無視するのもちょっと怖い。
少し考えた結果、私は鞄を持って手紙の指示する場所に向かった。
だってほら、学校の敷地内ならたぶん安全かなって。たぶん同級生だろうし。
「え…」
呼び出された場所にいたのは、予想していない人物だった。
「あ、あの!急に呼び出してすんません!」
ノートの切れ端に書かれてた、細くてかわいらしい文字からは全く想像もつかなかった。
「去年の教材販売の時に会ってからずっと三橋さんのことが好きでした付き合ってください!!」
え、なんて?早口で一息で言い切ったよこの人。と言うかさ、
「山本、あんた女子苦手だったんじゃないの…?」
予想も想定もしてなかった事態に私の頭は大混乱してる。
「いや、苦手っつーか緊張するっつーか」
「あれ恥ずかしがってただけなの?」
「…ソウナリマスネ」
新事実。山本シャイなだけだったんだ。
「え、手紙の文字は?」
「あれは俺が悩んでる内にクロさんが芝山に書かせた…」
それが誰かわかんないけど、要するに代筆されたんだろう。
「もしかしてこの花も?」
「それは妹が言ったからってそんな事はいいだろ!マジ勘弁してくれ!フるならフってくれ!」
「フりませんよ」
「は?」
まさか噂の山本とこんなことになるとは思ってなかったから正直びっくりしてる。意外すぎるでしょ。わかる人にしか伝わらないけど、あの山本だよ?
「お返事は今がいいですか?」
「お、お、おなしゃす!!」
でも緊張しいなところとか、妹さんが言ったからと花を用意しちゃうところがかわいいと思っちゃったんだ。
「お友達からお願いします」
「…へ?」
「だって私山本のこと全然知らないんだもん」
だから友達から。
こんな返事は不誠実だろうか。そんなことはただの杞憂に過ぎなかったらしい。
「アザッス!!」
体育会系特有の元気すぎる返事に少し圧倒されたけど、緊張で声の大きさまで気が回らないんだろうと思うとそれすらかわいく思えるから不思議だと思う。
ちょっと毛色は違うけど、これも一目惚れってやつなのかな?
「じゃあまず、一緒に帰りませんか?」
「ほあっ!?」
だって私、山本のこともっと知りたいって思ってる。