東峰
見慣れない暗さの校舎。さすがにおばけとかそんなものを信じてるつもりはないけど、なんとなく気味が悪いのも真実なわけで。「暇だろ?」なんて言いながら雑用を押し付けてきた先生は許さん。
生憎急いで帰ったところで、先生が言ったように暇なことにかわりない。私が歩いてる間にもどんどん日は傾いていく。
ほとんどの部活も終わってるのか、授業中よりもずっと静か。暇だけどこんな時間まで残した先生マジ許さん。
なんて言えもしないことを思っていたときだった。
「あれ?柏手さんお疲れ様。こんな時間までどうしたの?」
去年同じクラスだった東峰がいた。
部活が終わったばかりなのか、制服ではなく、見慣れない黒ジャス。芋ジャスじゃないだけでかっこいい。ズルい。
これも言わないけど。
「委員会が長引いちゃって」
「…ああ、委員会かぁ。こんな時間までやってるんだね」
「こんなこと滅多にないよ」
そう、滅多にない。この私が飴1個で騙されると思ってるのかあの人は。
「ええっと、保健委員だっけ。いつもはもっと早く帰ってるよね?」
「うん、そうだけど…」
今年にはいってから、東峰とは挨拶程度しか交わしてない。それなのにどうして私が保健委員だと知っているのか。
「いや!休憩の時偶然見かけるってだけで!いつも見てる訳じゃないんだけどね?!」
歯切れが悪かった私の何を勘違いしたのか、東峰は焦って言い訳をしだした。
別に知ってたって気にしないのに。気にはなるけど。去年も保健委員だったし、もしかしたら男バレと交流がある女バレで聞いたのかなとも思うし。
「別に気にしてないよ?よく見てるなーとは思ったけど」
「え、あ、そう?」
「東峰は相変わらず気にしぃなんだね」
「いきなり変われないよ」
「それもそうか」
「東峰も帰るんでしょ?じゃあね」
そう言って歩き出したまではよかった。
「あの!」
呼ばれたら振り返るしかない。ここで無視したら嫌な奴で、東峰のことだから変に勘違いしてた不登校になるかもしれない。それくらいメンタルが弱そうってこと。
東峰を見ると、何か考えながら、右手がしきりにモジモジしてた。見た目厳ついおっさんなのに、妙にかわいい行動するんだよなぁ…
「…えっと、この後みんなで坂ノ下行くんだけど、もしよかったら柏手さんも一緒に行かない?」
しかもこの弱さと来た。
誰にも言ってないが、このギャップにノックアウトされた私に断るなんて選択肢は残されていない。みんなで坂ノ下行くとか保険かけてる辺りもかわいくて仕方ない。
ガッと来いよ!グワッと!予定さえなければ寄り道くらいみんな乗っかるから!寄り道するのみんな好きだから!
「うん。行く」
なんてうっかり言ったけど。
みんなって誰?後輩もいるよね?え、それ、ちょ、緊張するんですけどどうしよう。
でも嬉しそうな東峰を見たら「よっしゃ頑張るか」なんて思えるくらいに私は単純らしい。
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見慣れない暗さの校舎。さすがにおばけとかそんなものを信じてるつもりはないけど、なんとなく気味が悪いのも真実なわけで。「暇だろ?」なんて言いながら雑用を押し付けてきた先生は許さん。
生憎急いで帰ったところで、先生が言ったように暇なことにかわりない。私が歩いてる間にもどんどん日は傾いていく。
ほとんどの部活も終わってるのか、授業中よりもずっと静か。暇だけどこんな時間まで残した先生マジ許さん。
なんて言えもしないことを思っていたときだった。
「あれ?柏手さんお疲れ様。こんな時間までどうしたの?」
去年同じクラスだった東峰がいた。
部活が終わったばかりなのか、制服ではなく、見慣れない黒ジャス。芋ジャスじゃないだけでかっこいい。ズルい。
これも言わないけど。
「委員会が長引いちゃって」
「…ああ、委員会かぁ。こんな時間までやってるんだね」
「こんなこと滅多にないよ」
そう、滅多にない。この私が飴1個で騙されると思ってるのかあの人は。
「ええっと、保健委員だっけ。いつもはもっと早く帰ってるよね?」
「うん、そうだけど…」
今年にはいってから、東峰とは挨拶程度しか交わしてない。それなのにどうして私が保健委員だと知っているのか。
「いや!休憩の時偶然見かけるってだけで!いつも見てる訳じゃないんだけどね?!」
歯切れが悪かった私の何を勘違いしたのか、東峰は焦って言い訳をしだした。
別に知ってたって気にしないのに。気にはなるけど。去年も保健委員だったし、もしかしたら男バレと交流がある女バレで聞いたのかなとも思うし。
「別に気にしてないよ?よく見てるなーとは思ったけど」
「え、あ、そう?」
「東峰は相変わらず気にしぃなんだね」
「いきなり変われないよ」
「それもそうか」
「東峰も帰るんでしょ?じゃあね」
そう言って歩き出したまではよかった。
「あの!」
呼ばれたら振り返るしかない。ここで無視したら嫌な奴で、東峰のことだから変に勘違いしてた不登校になるかもしれない。それくらいメンタルが弱そうってこと。
東峰を見ると、何か考えながら、右手がしきりにモジモジしてた。見た目厳ついおっさんなのに、妙にかわいい行動するんだよなぁ…
「…えっと、この後みんなで坂ノ下行くんだけど、もしよかったら柏手さんも一緒に行かない?」
しかもこの弱さと来た。
誰にも言ってないが、このギャップにノックアウトされた私に断るなんて選択肢は残されていない。みんなで坂ノ下行くとか保険かけてる辺りもかわいくて仕方ない。
ガッと来いよ!グワッと!予定さえなければ寄り道くらいみんな乗っかるから!寄り道するのみんな好きだから!
「うん。行く」
なんてうっかり言ったけど。
みんなって誰?後輩もいるよね?え、それ、ちょ、緊張するんですけどどうしよう。
でも嬉しそうな東峰を見たら「よっしゃ頑張るか」なんて思えるくらいに私は単純らしい。