最近、自分が変だということに気付いた。
この前の一件以来、主と伽羅ちゃんのことが気になって仕方ない。あの手が重なったシーンを何度も思い出しては、言葉に出来ないような不思議な感情が押し寄せて来る。
これは一体何なのか正体が掴めず、恐怖?不快感?困惑?様々な物に襲われていた。こんなの嫌だ、本当に格好悪いし情けない。
主と居るだけで自分が自分でいられないような気がして、つい避けてしまう。さっきは本当に心臓に悪かった。
「ふむふむ・・・なるほど。」
「僕、病気なのかな・・・うぅ・・・」
「そうだな。そいつぁ立派な病だぜ、光坊。」
「やっぱり!?どうしよう・・・早く治さないと・・・!薬研くんなら何かいい薬とか持って・・・」
「いや、これを治すか治さないかは君次第だ。」
「えっ?どういうこと?」
「光坊が侵されている病・・・それは・・・」
ごくりと唾を飲む。
鶴さんが難しい顔をして間を溜めている。それはもう慣れてるからいいけれど、今だけは早く言って欲しい。
「主のズボラさに呆れ過ぎ病だ!」
「そ、それだーーーーー!!!!」
何ということだ!
的を得すぎていて、深夜にも関わらず僕は大声を上げてしまった。いけないいけない、皆寝ているのだから静かにしないと・・・。
驚きと同時に、僕の心が晴々としていくのを感じる。ああそうか、そうだったんだ!
何度言っても改善してくれない身だしなみ、言葉遣い、態度・・・全部全部気にしすぎていてその病に掛かってしまったのか。
「その手が重なった時だって、動くのを面倒臭がって光坊の後ろから手を伸ばして栗を取ろうとしたんだろう?全く・・・少しは動けばいいものを・・・。」
「そう。そうなんだ。何も言わなかったけれど、ボウルを落としてしまう可能性だってあった訳でね。ちゃんと自分の目で確認しながら栗を取ってほしかったんだ!」
「うんうん、そうだなぁ。まぁそういう訳で、光坊を侵しているその病は君の中での目盛りがあるだろう。だから治すも治さないも、光坊次第ってことさ。」
「なるほど。うーん・・・きっとこれからも気にせずにはいられないと思うんだよね・・・不治の病ってことで、認めた方が良いんだろうか・・・。」
主が改善してくれるまでは、この病気に悩まされ続けるだろう。幾ら繰り返し注意したところで変化が無い。
なら己の力で治癒することは潔く諦めて、その内この病を治してくれる主に期待した方が楽なんじゃないだろうか?
何だ、こんなに簡単なことだったんだ。僕は心の底からほっとして、話を聞いてくれた鶴さんに感謝した。
「礼を言われる程のことじゃないさ。可愛い光坊の為に、自分に出来ることをしただけだ。」
「僕一人じゃどうしようもならなかったよ。これで明日から主とも楽に過ごすことが出来るよ。本当にありがとう!」
「ははは、爺の独り言だと思って聞いてくれりゃそれでいい。また何かあったら、話ぐらいは聞くぜ。」
「頼りにしてるよ、鶴さん・・・!」
それじゃあおやすみ、と言って鶴さんが部屋から出ていくのを見送る。
はぁ〜これで安心して眠ることが出来る。ここ最近、ずっと眠れない日が続いて寝不足だったんだ。
僕は倒れ込むようにして布団へ寝転ぶ。お布団気持ちいいなぁ最高だ!そのまま目を閉じて、僕は眠りについた。
***
「おはよう、主!」
「お、おう。おはようさん。」
嘘だろ。光忠さんから挨拶してきた。しかも、笑顔で元気よく。
マジでどうにかしてくれたって言うのか?あの鶴丸が?
にわかには信じがたくて、朝飯を食い終えた後に鶴丸に話を聞いた。
「何で?どうやったの?」
「ん?俺は何もしてないぜ。」
「んなわけないだろ。光忠さんのあの落ち込みようからじゃ、すぐに立ち直るなんて出来なさそうだったもん。」
「本当さ。光坊が自分の気持ちに素直になった、それだけのことだろうな。」
「はぁ・・・。」
益々訳が分からなくなったが、追及するのも面倒だし更に拗らせるのも良くないだろう。
光忠さんも昨日より精を出して動いているし、何より笑顔が増えた気がする。
それを見て私は安心したので、あっさり済ませることにした。
さてと、今日の出陣はこうして・・・内番はこうしてこうだな。
政府からのイベント事の時はつい張り切って早起きしてしまう。偉いわ自分。冗談抜きで偉い。いつもなら寝てる。
今日は里へ出陣ではなく、どの部隊にも短時間遠征をしてもらうことにした。
「あれれ?主様、この兎当番というのは・・・」
「爺共がこの前勝手に兎連れて来たっしょ?それの世話してもらう当番。」
「わぁ、いいですね!僕、兎さんはふわふわしてて好きです!とっても癒されます!」
「だろ?物吉もアニマルセラピーされておいで。青江さんと伽羅ちゃんもな。」
「ふふふ・・・柔らかくてフワフワで・・・食べてしまおうかなぁ。」
「やめなさい。短刀共が泣く。」
「・・・」
青江さんは相変わらず発想がぶっ飛んでいる。冗談なのは知っているので、軽いツッコミで済ませるが。
伽羅ちゃんは優しく兎を撫でている。案外動物が好きみたいだ。
今日も平和だ。
どれどれ、ゆっくり励むとしますかねぇ。
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タイトルあんまり関係なくなってしまった(笑)
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