「あっっっづ・・・」
「もう、ハンカチくらい持っておきなよ。はい、これで汗拭いて。それから水分補給も忘れないで。」
「おぉー流石。助かるわ光忠さん、ありがとう。」

暑中お見舞い申し上げます。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。僕は、夏野菜くん達のお手入れを毎日欠かさず行っています。

今、僕達の本丸は政府から夏休みということで長期休暇を貰っている。だからと言って休み続きではなく、やらなきゃいけないことは山ほどあるんだけれどね。
今日は伽羅ちゃんと畑当番の仕事をやることになっていた。いつものように馴れ合わないと言って、遠く離れた所で黙々と作業してくれているみたいだ。
しかし僕は思い出してしまった。
厨当番である歌仙くんに、今日中にプチトマトを100粒収穫してほしいと言われていたんだ。収穫するだけならいいけれど、数も数えながらとなると一人では少し厳しい。
そして今、そんな僕を(たまたま通り掛かって)見かねた主が手伝ってくれている。
相変わらずノーメイクだし、恐らく日焼け止めは塗っていないし、畑仕事をするにはふさわしくないTシャツにハーフパンツのラフすぎる格好だし、今日も今日とて女子力が無い。
あ、女子力っていう言葉は加州くんに教えてもらったんだ。彼は現代について何でも知っているから、ついおしゃべりしてしまうんだよね。

「これで何粒取った?」
「んー・・・、54粒かな。」
「まだ半分かぁ。こんなん一人でやるとか、炎天下の中で拷問かよ。歌仙も考えてやれよな〜。」

元はと言えば君が今日の畑当番を決めたからだよ、とは言わないでおこう。
少なくとも主に罪は無い、いや歌仙くんにもないよ!今日の食卓に美味しいプチトマトくんが並ぶと思えば、これはこれで楽しいんだ。嘘偽りのない理由だしね。

「そうだ、伽羅ちゃんの方はどうなったかな。」
「お、伽羅ちゃんも畑当番だったけ?」
「うん。でもほら、彼、いつも通りだからさ。」
「あー、そうだよな。ちょいと私が見て来るから、光忠さん一旦休憩しといていーよ。あ、数は忘れんなよ。」
「いいのかい?」
「任せろぃ。」

恐らく伽羅ちゃんのいるであろう場所を教えた後、主は僕に手でバッチリと表現して、ゆっくりと歩いて行った。
あ・・・そういえば伽羅ちゃん、帽子被ってたかな・・・。辛うじて手拭いは首に掛けていた気がするけど。
水分補給出来る物も持っていただろうか。そう考えると少し心配になってきたな・・・。主も手ブラで行った・・・よね。


うん、よし。
厨から冷えた飲み物と、洗濯が干してある所から乾いたふわふわのタオルを持って行ってあげよう。帽子も忘れずに部屋から取って来ないと。それから主には日焼け止めと帽子、後は上着もいるかな・・・。軍手ももう一足持って行こう。プチトマトの数も忘れてない。54粒、54、54・・・。
僕はいそいそと、一番近いであろう主の部屋から向かうことにした。